研究課題/領域番号 |
19H01804
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
縫田 光司 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (20435762)
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研究分担者 |
山下 剛 京都大学, 数理解析研究所, 講師 (70444453)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 完全準同型暗号 / 組合せ論的群論 / 宇宙際Teichmuller理論 |
研究実績の概要 |
当該年度には、まず研究代表者を中心として、本研究で実現を目指す実用的効率性をもつ完全準同型暗号の実現に向けて、研究代表者がこれまでに考案した群論に基づく新構成原理について再度整理を行った。特に、同原理におけるビット演算の群論的埋め込み先として、既知の埋め込み先の一つである対称群S_nを採用し、組合せ論的群論に基づく被覆写像の構成を行うという状況設定においては、被覆群として有限Coxeter群を用いるのでは安全な構成が不可能であることを示した。こうした内容を含む同原理の説明および関連する検討の現状について国際シンポジウムInternational Symposium on Mathematics, Quantum Theory, and Cryptography (MQC 2019)で概説講演を行い、また概説論文を同シンポジウムの予稿として執筆した。 次に、前述の組合せ論的群論に基づく被覆写像の性質を探究する一環として、Coxeter群に対する組合せ論的群論に基づく研究を行った。特にCoxeter群における鏡映と呼ばれる元がintrinsicと呼ばれる性質を備えるための条件について精査し、査読付国際論文誌へ論文投稿を行った(Bernhard M\"uhlherr氏との共著)。 さらに、前述の新原理の適用先となる代数構造の候補として、群の公理から結合法則を除いた代数系であるloop、特にその部分クラスであるMoufang loopに着目し、その基本的性質について文献収集と調査を行った。 また、研究分担者を中心として、望月新一氏による宇宙際Teichm\"uller理論の拡張と発展に関して同氏と研究を行った。より詳しくは、従来の宇宙際Teichm\"uller理論では適用範囲外となっていた、虚数乗法をもつ楕円曲線にまで同理論を拡張する議論を同氏と行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で実現を目指す実用的効率性をもつ完全準同型暗号の実現に向けて、本研究の基盤となる新原理の性質について整理するとともに、同原理およびその適用先候補について深く探究するための数学理論についても研究が進展した。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度の研究内容をより発展・深化させるとともに、本研究の基盤となる新原理をより広い状況に適用できるよう関連する数学理論をさらに整備する。
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