研究実績の概要 |
超対称ランダム行列によるトポロジカル不変量の研究として、不変量であるリーマン面のスピン曲線の交点数の研究を引き続きランダム行列に基づいて行った. 一般の種数gに対する交点数を導出する積分公式を精密化し、p-スピン曲線を半整数pに拡張する新たな積分公式を得た. この積分公式が正しいことを示すため、いくつかの場合に具体的に交点数計算し、知られている結果との合致を確認した. 正整数pの場合はNeveu-Schwarz型のn=0,1,2,...,p-2に相当するn成分の交点数が得られ、Ramond型に相当するn=p-1は計算では分離するため得られない. それに対し、半整数pの場合はRamond成分が得られ、新しい共形場理論が構築されることが判明した. 特にp=1/2ではDirac型で、p=3/2はRarita-Schwinger型となる. この応用として、近年発見された2次元トポロジカル半金属でスピンが3/2となる一連の物質群に適用することが考えられる. 半整数スピン1/2はフェルミオンであり、トポロジカル物質でのフェルミオン励起に相当する.具体的なARPESによる実験結果との比較を行った. またこの新しい積分公式により、今まで議論されてきたADE特異性の内でA型(A_(p-1))をD型に拡張した交点数の表式を得た.交点数の種数gの大きい漸近式を得た。E6型の場合も行列模型による交点数の導出を研究した。
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