本研究課題では、拡張スリットホログラフィー、非対称開口コヒーレントイメージン グ、反射配置コヒーレントイメージング等のX線イメージング法を発展させるとともに、外場効果をイメージングにて観測することを狙いとしている。当該年度は、反射配置でのコヒーレント軟X線イメージングを発展させることを目的として、様々なシミュレーションを行い、試料形状の情報を事前知識として用いることで、軟X線のコヒーレンスが十分にあれば位相回復、および、イメージングが可能であることを見出した。さらに、試料形状についても完全な情報が必要なわけではなく、不完全な試料形状においても試料を一軸回転させることによって、実像回復が可能であることを見出した。 さらに、実際に、非自明な磁気秩序相が出現することで知られているGd合金系について反射型配置でのイメージングを試みた。単結晶試料をFIB加工したものを準備し、Photon Factoryにおいて、GdのL吸収端の軟X線を照射した。しかしながら、知られている波数の近傍において、超格子反射の検出に至らなかった。現在、その原因を考察中である。 さらに、これとは別に、室温に近い温度で磁気スキルミオン凝縮相を示すことで知られているCo8Zn8Mn4について、透過配置でのX線磁気イメージングと、磁気円二色性分光を合わせて行った。その結果、Coが明瞭ならせん秩序や磁気スキルミオン三角格子を示すことを明らかにした。一方、Mnの磁気モーメントの秩序化は抑制されていることが分かった。
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