本研究では絶縁体である量子スピン液体相の素励起を明らかにするため、磁性絶縁体における熱ホール効果の研究から、これまで直接測定が難しかったスピン素励起の持つスピンカイラリティの効果などを明らかにすることを目的とした。 研究期間中にカゴメ格子反強磁性体のCdカペラサイト、磁気スカーミオンが発現する強磁性絶縁体GaV4Se8、キタエフ磁性体の新しい候補物質であるNa2Co2TeO6、反強磁性スカーミオン相が実現する反強磁性体MnSc2S4における熱ホール測定に成功し、絶縁体における熱ホール効果とスピン素励起の持つスピンカイラリティの関係について新しい知見を得ることに成功した。
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