FDTD法を用いた電磁場シミュレーションにおいて、これまで空間2次精度の差分が50年以上にわたって用いられてきた。しかし、急峻な変化を持つ波形において数値が発生するという問題点があり、これは空間差分の精度を上げることによって抑制できることが知られていた。一方で、空間差分の精度を上げるとクーラン条件が厳しくなるという問題点もあった。本年度は、時間発展式に高階差分項を付加することによって、空間差分を6次精度化し、同時にクーラン条件も緩和する新たなFDTD法の開発に成功した。また,高階差分項にラプラス演算子を組み込むことにより、電磁波の伝搬速度誤差の伝搬角依存性を解消することに成功した。
PIC法を用いたプラズマ粒子シミュレーションにおいて、運動方程式の数値解法としてこれまでBorisが50年以上にわたって用いられてきた。しかし、相対論的ローレンツ因子が大きくなるにつれて、磁場を横切るドリフト速度に大きな誤差が生じるという問題点があった。本年度は、荷電粒子の相対論的運動方程式の理論解に基づいて磁場を横切るドリフト速度を正確に与える新たな数値解法について、4次精度ルンゲ・クッタ法を組み込むことによって高次精度化することに成功した。
PIC法を用いたプラズマ粒子シミュレーションにおいて、粒子の初期速度にマックスウェル分布を与える必要がある。本年度は、1次元及び3次元マックスウェル分布の累積分布関数の逆関数を近似解で表現することにより、逆関数サンプリング法に基づいて乱数を発生させる手法を開発した。
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