研究課題/領域番号 |
19H01871
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
江原 真司 東北大学, 工学研究科, 准教授 (30325485)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 液体ダイバータ / 溶融塩 / 流れの可視化 / 乱流伝熱促進 |
研究実績の概要 |
実験において、1)縮流部の最適化、2)自由表面加熱手法の変更の検討、3)傾斜機構の導入、を行い、数値解析において上記2)のモデル計算を行った。 1)では、昨年度作成した実験装置では縮流部の直線的な変化および縮流部と流路の接続部の角に起因して自由表面波が形成されてしまうため、特に流速が速い場合において、流路下流部の測定部での液面乱れ測定に対し問題が生じていた。この解決のため、縮流部を直線ではなく曲線による流路断面形状変化とし、自由液面波を抑制した。発泡スチレンボードを当該曲線状に切り出し、それを積層させて縮流部の形状を変更した。 2)では、これまでのニクロム線による通電加熱をハロゲンヒーターによる加熱に変更することを検討した。ニクロム線による加熱では流れ中にニクロム線を設置する必要があり、ニクロム線による流れの阻害がどうしても生じてしまい、自由表面流れの表面における乱流熱輸送を正しく評価することが難しい。一方、ハロゲンヒーターを用いた場合は流れを阻害することなく加熱することが可能である。しかし市販のハロゲンヒーターの出力には制限があることから、自由表面流れ中に測定可能な有意な温度上昇が生じるかどうかについて検討する必要があり、これについて数値解析を行い評価した。その結果から市販のハロゲンヒータの仕様・必要数を決定し、購入した。
3)では、傾斜機構としてクレーン傾斜させる方法を採用した。本ループは整流部から後流部までの区間が木製の土台の上に設置されておりこの部分全体をクレーンによりつり上げ傾斜させる。吊り上げには門型クレーン、ビームクランプ、チェーンブロック、スリングベルトを使用した。この流路を傾斜させるにあたり、整流部、縮流部、発達部・加熱計測部、土台の各部の重量及び重心の算出を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
傾斜機構の導入について、当初は令和2年度内に導入する予定であったが、令和3年2月13日の地震(仙台での最大震度6強)によりその内容の見直しを行い、最終的な設置が遅れてしまった。 ハロゲンヒータの導入前の数値解析についても、3次元流体解析のメッシュ依存性についてなかなか最適なものを得られずに時間がかかってしまい、その仕様決定まで時間がかかってしまい、また納期も想定よりもかかってしまったため、実際の導入までが予定よりも遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
今回実施した実験装置の改修で、既存装置の問題はほぼ解決したと考えられる。今後は導入した傾斜機構を使用し、種々の流れ(等流)条件にて流れの可視化実験を行い、ペブル敷設開流路の流れ場を解析し、ハロゲンヒータによる表面加熱を用いた伝熱実験を実施し、自由表面流れの表面における乱流熱輸送特性について評価していく。 流れの可視化実験についてはシートレーザー光の入射角度の調整、流路(アクリル壁およびアクリル球)の(黒色)塗装によってレーザー光の反射を十分抑えられ、計測が可能であることは確認したので、液膜厚さや流速などのパラメータを変えて実験を行う。 伝熱実験における温度測定には、熱電対の自動ステージによる位置制御を用いた計測を導入することとしており、すでに業者との話し合いを始めている。なるべく早い時期に当該装置の仕様を決定し本実験に導入し、詳細な温度計測による乱流熱輸送特性評価を行う。
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