研究課題/領域番号 |
19H01876
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
有川 安信 大阪大学, レーザー科学研究所, 講師 (90624255)
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研究分担者 |
時田 茂樹 大阪大学, レーザー科学研究所, 講師 (20456825)
畑 昌育 大阪大学, レーザー科学研究所, 特別研究員(PD) (60712429)
安部 勇輝 大阪大学, レーザー科学研究所, 特任研究員 (70817543)
椿本 孝治 大阪大学, レーザー科学研究所, 助教 (90270579)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 超高強度レーザー / 波長変換 |
研究実績の概要 |
当初計画書よりも進んだ成果が得られた。LFEXレーザーに10cmx10cmx1.5mmのLBO結晶を挿入して、LFEXとしてはじめての波長変換実験が実現した。研究成果は2019年9月に国際学会招待講演と、一般講演2件での成果発表を行った。論文かの準備も進んでいる。成果概要は、LFEXレーザーの集光パラボラミラーよりも後に波長変換結晶を挿入できる装置を開発し導入した。その状態でレーザー照射を行い、波長変換を実測することに成功した(確かに緑色になったレーザー光を観測した)。100Jまでの入射レーザーに対して20%の波長変換が実測された。 このレーザーをタンタル金属製1mmx1mmx1mmのターゲットに照射して、レーザー電子加速による電子のエネルギースペクトル、制動放射X線の信号の計測に成功した。ほぼ大成功と言える実験であった。唯一の問題は結晶がまだ分厚すぎることが判明したことであった。厚さ1.5mmはまだ厚すぎたため、予想よりも1/2程度低い100Jのレーザー照射で結晶にダメージが入り始め、それ以上のレーザーエネルギーを投入することができなかった。レーザー核融合に必要なレーザー強度までの実験は実現しなかった。2020年は結晶を0.5mmまで薄くすることで3倍までエネルギーを上げることができ、目標とする条件に到達できるとわかった。この条件では変換効率は40%まで向上する。 計測された電子すエネルギースペクトルは、基本波のみで照射したときと、基本波80%+2倍高調波20%(結晶端面反射によるロスを考慮して、ターゲット上で同じエネルギーになるように設定)は0~1MeVの電子数にして2-4倍の向上が見られた。電子のスペクトルが低エネルギーし、加熱に効率的な電子が増えたことが示唆されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画よりも早く、最も大きな開発要素であったレーザー波長変換を成功させ、電子加速とその計測にまで至った。結晶の厚さの問題が判明したが、解決策を見出して再加工に入った。あとは条件の最適化のみであるため、2019年は計画以上の進展があったであるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年はレーザー波長変換を完成レベルにすることを最優先目標とする。目標は、LFEXレーザー波長変換を1000Jの入力で実現する。2019年度に比べて、1/3に薄くした結晶を用いれば実現することが理論計算によりわかっている。これによりダメージの問題も回避できることがわかっている。 2021年は電子加速とプラズマ加熱の物理を探求することを最優先とし、研究として完結する。
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