研究課題
周辺磁気島を形成した場合に、ダイバータデタッチメント時に発現する閉じ込め改善モードについて、重水素と軽水素プラズマで比較を進めた結果、重水素プラズマにおいてより高い放射損失と高い閉じ込め性能を同時に両立できることが明らかになった。また、閉じ込め改善時に観測される閉じ込め領域からの不純物多荷イオンの掃き出しも重水素においてより顕著であることが確認された。周辺部の放射冷却が進行すると、周辺部の輸送障壁が劣化する様子が実験で確認された。このとき、MHD不安定性に起因する乱流が静電場乱流に匹敵する程度に上昇していることがデータ解析から分かった。閉じ込め改善モード時に形成される周辺部輸送障壁において、圧力勾配によって励起されるMHD揺動が、乱流伝播を引き起こすことを新たに発見した。乱流が閉じ込め領域の外側へ伝播した結果、ダイバータ板での熱負荷分布を広域化して、ピーク熱負荷を3~4分の1に低減することが明らかになった。これは不純物多荷イオンによる放射冷却に替わる新たな熱負荷軽減手法となり得るものとして期待できる。以上の成果は、装置壁の熱負荷低減と高い閉じ込め性能を両立するための3次元磁場構造の役割を理解する上で重要な知見と理解の深化をもたらすものである。周辺部に同様の磁気島構造を有するステラレータ装置W7-Xとの比較を進めるため、ドイツのマックスプランク研究所を訪問し、詳細な打ち合わせを行った。LHDとW7-Xの比較を行うための実験提案を行い、数値シミュレーションに着手した。放射損失量を入力パラメータとし、不純物の導入量と電子サイクロトロン加熱を制御ノブとしてデタッチメント放電をフィードバック制御するシステムを新たに立ち上げた。本システムによる実験を行い、周辺磁気島が無い場合にも安定なデタッチメント運転ができることを実証した。
3: やや遅れている
新型コロナウイルスの世界的な流行により、海外からの研究者の招聘が困難になったため。
新型コロナウイルスの流行が落ち着いたところで、海外の研究者の招聘を実施、あるいは先方への研究者の派遣を行い、共同研究を進める。新たに発見された乱流伝播現象の詳細な解析をすすめる。新たに立ち上げた不純物の導入量と電子サイクロトロン加熱により、安定なデタッチメント運転の維持を試みる。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 8件、 招待講演 5件)
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 61 ページ: SA1005-1~10
10.35848/1347-4065/ac2435
Nuclear Fusion
巻: 62 ページ: 042019-1~20
10.1088/1741-4326/ac3cda
Plasma and Fusion Research
巻: 16 ページ: 2402006-1~6
10.1585/pfr.16.2402006
巻: 61 ページ: 126018-1~9
10.1088/1741-4326/ac2bbc
Journal of Quantitative Spectroscopy and Radiative Transfer
巻: 267 ページ: 107592-1~8
10.1016/j.jqsrt.2021.107592
Fusion Engineering and Design
巻: 165 ページ: 112235-1~10
10.1016/j.fusengdes.2021.112235
巻: 16 ページ: 2401086-1~6
10.1585/pfr.16.2401086