研究課題/領域番号 |
19H01879
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
洲鎌 英雄 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (80202125)
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研究分担者 |
松岡 清吉 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (10609986)
沼波 政倫 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (40397203)
仲田 資季 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (40709440)
登田 慎一郎 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (60332186)
佐竹 真介 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (70390630)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 核融合プラズマ / 新古典輸送 / 乱流輸送 / 運動論的シミュレーション |
研究実績の概要 |
一般空間座標系を用いたオイラー的変分原理 [H. Sugama et al., Phys. Plasmas 25, 102506 (2018)]を拡張し、静電乱流を記述するジャイロ運動論の定式化を行った[H. Sugama et al., Physics of Plasmas 28, 022312 (2021)]。任意の空間座標変換の下で、ジャイロ運動論系のラグランジアンが不変であることから、ジャイロ運動論方程式系の解として与えられるジャイロ中心分布関数と静電ポテンシャルが満足する局所運動量バランス方程式が導出された。ここで得られた結果は、一般的な非軸対称トロイダル系における新古典輸送・乱流輸送の両輸送過程を調べるためのグローバルジャイロ運動論的シミュレーションの精度検証等に役立つことが期待される。 ヘリカル系における複数のイオン粒子種を含んだプラズマの乱流輸送およびその温度・密度分布依存性を、GKVコードを用いたジャイロ運動論的シミュレーションによって調べた[M. Nunami et al., Physics of Plasmas 27, 052501 (2020)]。多イオン種プラズマでは、各粒子種の熱輸送の温度勾配・密度勾配に対する依存性の差異は比較的に小さいが、粒子輸送の温度勾配・密度勾配に対する依存性は粒子種によって大きく異なる傾向があることが示された。 GKVコードによるシミュレーション結果に基づいて得られた簡約化乱流輸送モデルを用いて、LHDの標準磁場配位と内寄せ磁場配位におけるイオン温度勾配(ITG)乱流輸送・ゾーナルフロー生成に対する捕捉電子の効果を調べた[S. Toda et al., Journal of Plasma Physics 86, 815860304 (2020)]。この簡約化乱流輸送モデルを用いることによって、直接乱流シミュレーションを行うよりも遥かに短い計算時間で、ITG乱流・ゾーナルフローに対する静電ポテンシャルの揺動振幅および乱流イオン熱輸送を予測することが可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グローバルジャイロ運動論的シミュレーションに役立つジャイロ運動論の定式化や局所運動量バランス方程式の導出、多イオン種ジャイロ運動論的乱流輸送シミュレーションや簡約化乱流輸送モデルの応用等に関して成果が上がり、これらの研究成果は学術誌やAPSDPP等の国際会議において発表された。
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今後の研究の推進方策 |
乱流輸送シミュレーションの精度向上に役立つジャイロ運動論モデルの変分原理による定式化、エネルギー・運動量保存則の導出を電磁乱流の場合に拡張する。粒子・熱乱流輸送を評価する準線形フラックスモデルを適用した統合輸送コードの開発と応用を進める。改良された多イオン種間の線形衝突演算子モデルを用いた新古典輸送シミュレーションを行う。グローバルジャイロ運動論コードの開発を進め、ITGモードやゾーナルフローの線形シミュレーション解析を行う。
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