研究課題/領域番号 |
19H01884
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
廣瀬 文彦 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (50372339)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 原子層堆積 / 複合酸化膜 / アルミナシリカ / イオン吸着 |
研究実績の概要 |
本研究では、ラジカル表面励起を用いた室温原子層堆積法を進化させ、アトミックレベルで濃度を自在に調整した複合酸化膜の超格子製造技術を獲得することを目的とする。この研究において、アルミナとシリカの濃度を調整した複合酸化膜を主題材として、アトムレベルで表面濃度を制御する吸着技術を獲得し、室温複合酸化物原子層堆積の構築と超格子形成プロセスの獲得を狙う。応用として、超格子イオン吸着ベッドと有機ELに活用される超ハイガスバリア超格子の実現を狙う。 本年度では、シリカアルミナの複合酸化膜について前年度に抽出したガス照射条件、手順を活用して、薄膜試作を行い、アルミとシリコンの濃度比の制御が可能であることを確かめた。また、イオン吸着試験として、Naイオンとカリウムイオンを用いて、イオン交換吸着が可能であることを、光電子分光を用いて明らかにした。調整比較試験の結果、アルミとシリコンの濃度比が1:1のときに、イオン吸着性能が最良になることも明らかにした。また、アルミナシリカ膜とSiO2膜の超構造の作製試験も行い、単純なシリカアルミナ膜に比べて、SiO2を間に挟んだマルチコート構造とすることで、イオン吸着性能が増強することが見出され、超構造化することによる機能性向上の可能性を見出した。 ガスバリア構造については、耐水性膜としてのZnOとアルミナ膜のマルチコートをPENフィルム上に形成し、水蒸気透過率として10-4g/m2day台の水蒸気透過率を確認するに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度で、目標とするアルミナシリカの複合酸化膜の実証に成功し、またゼオライト鉱石にみられるイオン交換吸着反応の実証に至っており、ほぼ順調に試験項目を完了したと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度ではこれまで明らかにしたアルミナシリカ膜の超格子構造としての構造実証を行う。またハイガスバリア膜として、アルミナと酸化亜鉛膜構造の最適化を実施し、超ハイガスバリアである10-6台の水蒸気透過性能達成のための方法論を明らかにしていく。
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