研究課題
本年度は,当初の研究計画に従い,(1)レーザー誘起蛍光(LIF)法の計測機器の導入と組立,(2)材料プロセス型(ICP+RFバイアス)プラズマ源の製作 を進めた.配分予算と申請額との差異により,光増幅器によるLIF信号強度の増大や,2軸でのレーザー導入はできていないものの,基本的なLIF系は順調に構築できており,現在計測テストを進めている.2020年度は,光増幅器に加え,低気圧下でのプラズマ密度が大きくLIF信号増大が期待されるECR型プラズマ源を導入することにより,より自由なLIF実験を行うためのプラットフォームづくりを進める.そのための準備として,(a)真空チャンバーにECRプラズマ源を取り付けるためのフランジ等の改造や,(b)ECRプラズマ生成に必要な研究室既存のマイクロ波発生源のメンテナンスや導波管の準備などを2019年度中に進めた.また,LIF法によるイオン計測をサポートするため,プラズマ密度や電子エネルギー分布計測を行う静電プローブ法の実験を並行して行った.ターゲットとするプラズマ密度領域で現在のプローブ計測システムが問題なく働くことを確認した.このプローブ計測の結果を見ながら,LIF実験に最適なプラズマ源・生成条件を決定していく予定である.また,LIF計測を連続的に行う研究計画に沿って,プローブ計測も連続的にパラメータ出力を行いたいという考えに至り,プラズマ密度とエネルギー分布関数を連続的に取得できるプローブ計測手法(主に測定回路)の研究開発を進めた.
2: おおむね順調に進展している
研究実績の概要に示した通り,本研究は当初の計画通りLIF計測系・プラズマ源ともに構築が進み,テストを行った.予算配分額の都合により研究計画と全く同一の計測系にはなっていないものの,基本的な計測が可能な装置構成となっており,研究の遅延には結びついていない.しかしながら,新型コロナウィルス感染症の広がりにより,3月に予定していたLIF計測テストは全く行うことができなかった.このテストは,コロナウィルス感染拡大が沈静化し次第すぐに行う予定である.以上の事から,(2)おおむね順調に進展している.と自己評価した.
2020年度は,2019年度に予算額の制限により購入できなかった光増幅器を導入し,2軸交差レーザーによる多次元LIF計測を行う.光変調周波数を工夫することにより,交差点でのイオン運動ベクトルを2次元で捉え,イオン流れの時空間分解モニタリング手法を開発する.また,プラズマ源については,現在テスト中のICPプラズマ源を改造し,ECR型プラズマ源を設置できるようにする.この改造により低気圧(<1Pa)下でのプラズマ(イオン)密度が上昇し,LIF信号が増大することが予想される.LIF信号の増大は計測のS/N比を大きく向上させるため,今後予定しているチャレンジングなLIF計測実験の信号検出に寄与すると期待している.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (2件)
Journal of Instrumentation
巻: 15 ページ: C01004
10.1088/1748-0221/15/01/C01004
Plasma Sources Science and Technology
巻: 29 ページ: 025017
doi.org/10.1088/1361-6595/ab681b
http://www.propulsion.kuaero.kyoto-u.ac.jp/
https://sites.google.com/site/keiurabe0907/