研究課題/領域番号 |
19H01889
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
伊藤 昌文 名城大学, 理工学部, 教授 (10232472)
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研究分担者 |
加藤 雅士 名城大学, 農学部, 教授 (70242849)
村田 富保 名城大学, 薬学部, 准教授 (80285189)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 大気圧プラズマ / 液相活性種 / 紫外吸収スペクトル / 過酸化水素 / 硝酸イオン / 亜硝酸イオン |
研究実績の概要 |
本年度は、まず現有の深紫外・可視・近赤外分光光度計を用いて液相長寿命活性種の190~400nmの紫外域の吸収を分光光度計で取得しスペクトルの同定を行った。具体的には、長寿命活性種である過酸化水素、亜硝酸イオン、硝酸イオンなどのデータベースを構築し、他の測定手法と比較検討することでその妥当性を検証し、様々なプラズマ源から発生する長寿命活性種の違いを検証した。また、新たに高密度のグロープラズマを開発し、従来の10倍以上の活性種生成能力を有することが検証され、殺菌等にも大変有効であることが確認され、3件の論文として報告した。さらにオゾナイザー、ラジカル源、紫外線励起で選択的に酸素活性種を生成し脱イオン蒸留水(DI水)に照射し、液相の吸収スペクトルを分光光度計で取得した。その結果、純度の高いガスを用いても、ガスボンベや配管の残留窒素や水分が原因で、極微量の亜硝酸イオンや硝酸イオン、過酸化水素がDI水中に生成されることが分かった。これらの結果から強力な殺菌効果は長寿命の活性種ではなく短寿命の活性種が重要であることが実証され、結果を論文に投稿した。しかしながら、まだ液中活性種の空間分布などが明らかとなっておらず、短寿命活性種の中のどれが主要な殺菌因子であるかの特定までには至らなかった。 また、環境制御活性種選択照射、液相短寿命活性種時空間分布計測システムに関しては、既に装置の構築と光学系の設計は完了したが、光学系の構築まで実施できなかった。次年度以降はこれらのシステムを構築し、液中ラジカルの時空間分布を計測し、殺菌因子の解明を実現していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた研究は光学系の構築以外は全て予定通り完了しており、 実施が遅れた光学系の構築に関しても既に部品の発注準備は完了しており、すぐに次年度の実施計画に取り掛かることができるため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は早急に昨年度実施が遅れた光学系の構築を完了する。その後、まず構築した気相・液相活性種濃度時空間分布測定システムを用いてプラズマにより液相で生成された活性種の一次元の空間分布が時間的にどのように変化するかを計測する。これらからどのようにどこまで各液相活性種が輸送されるかを検証する。 また、プラズマ中の中性ラジカルのみを照射した場合の大腸菌や酵母菌等の菌細胞やメラノーマ細胞などの培養細胞の活性状態を評価する。具体的には、細胞の活性状態を制御するシグナル伝達酵素やタンパク質等を蛍光顕微鏡等により観測することで、細胞の活性分布を計測する。これらの結果と上記の各種液相ラジカル密度計測結果と総合的に分析し、各種ラジカル密度分布と生物活性との相関を系統的に明らかにする。
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