研究課題
6 つのクォークからなるエキゾティックな粒子「ダイバリオン」は、 半世紀も前に予言されたにも関わらず、これまでその存在が確認されてこなかった。しかし2009 年のスウェーデン CELSIUS/WASA 共同実験者が陽子・中性子衝突反応でダイバリオン d*(2380) を発見したのに引き続き、我々は重陽子標的に対して終状態が 2 つの中性πメソンと重陽子になる光生成反応で、ダイバリオンを新たに 3 つ発見することに成功した。本研究の目的は、これらの新たに発見したダイバリオンの性質を詳細に調べ、存在するダイバリオンの系統性から、強い力で相互作用するクォーク・グルーオンの複合粒子「ハドロン」がどのように構成されるかを解明することにある。ダイバリオンの生成断面積は小さいためバックグラウンドに対して有意に観測することは非常に難しいが、重陽子標的に対して 2 つの中性メソンと重陽子を終状態とする光生成反応はバックグラウンドを抑制するのに最適である。そこでγd→π0π0d反応およびγd→π0ηd反応でダイバリオンの光生成を確認する。本年度は、γd→π0ηd反応イベントの解析を行い、ηd部分系の閾値近傍での相関状態やπd共鳴状態と見られるダイバリオンの観測に成功した。πd系のダイバリオンはγd→π0π0d反応の部分系で見られたものと同じと考えられる。一方、ηd部分系で見られた相関状態は、共鳴状態ではなく、浅い束縛状態か仮想状態であると考えられ、ηd間の相互作用がそれなりに強い引力であることを示唆していた。これらの結果を査読付き学術論文二本にまとめあげた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件) 備考 (2件)
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