研究課題/領域番号 |
19H01905
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 純一 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 教授 (80376699)
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研究分担者 |
江成 祐二 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (60377968)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ATLAS実験 / LHC加速器 / 読み出し回路 / 電磁カロリメータ / FPGAファームウェア |
研究実績の概要 |
ハードウェアの更新とFPGAファームウェアの開発を並行して実施した。 新型コロナウィルスのため大学院生の海外研究所(CERN)への渡航制限が厳しく、ハードウェアのインストール作業は江成助教のみがCERNに長期滞在し、CERNやフランスのグループと協力しながら遂行した。トリガー読み出し経路を新設するため、従来の読み出しを変更し、新しい回路系統を入れ込む必要があった。この更新作業は(1)フロントエンド・クレートの基盤バスラインボードの入れ替え、(2)メイン読み出しモジュールであるフロントエンド・ボードのメザニーカードの入れ替え、そして(3)新設トリガー読み出しデジタイザーボード(LTDB)の導入の3ステップで実施する。(1)(2)は組みとして作業し、令和2年11月までに問題を修復したバレルCをインストールし、すべての作業を完了した。(3)に関してもバレル部分については同時期に並行してインストールを行った。令和2年11月以降は(3)のエンドキャップ部分を行った。バレルCについては令和3年2月には完了したが、バレルAについては令和3年9月にインストール作業を終えた。インストールが完了したLTDBは順次、東京大学からリモートで大学院生(舘野、仲間、大久保、Zang、張)が接続試験等やモニターに必要なツールを開発した。 ファームウェアの開発は田中が大学院生(大石, Zang)を率いて東京からリモートでCERNの研究者とともに実施した。大石は令和2年10月から4か月程度CERNに渡航する許可を得てCERNで作業を行った。インストールしたLTDBで動作試験を行いながら、FPGAリソース使用するリソースを削減する作業等を行った。また、江成助教が中心となりFireflyを用いた高速光通信の試験のためメザニーカードを制作しその動作試験等も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年6月から開始したバレルCのインストールの中で、バックエンド側(エレキハット)でLTDBのインストールも並行して行ったが、LTDBについてはコロナ禍の影響のため、十分な数が業者から納品されず、インストール作業が遅れた。バレルCの検出器側でのインストールは単独でも進められるが、令和元年度に問題のあった場所のため、検出器グループ全体の判断で、エレキハット側のLTDBの接続試験もある程度実施しつつの作業に変更した結果、全体としてスケジュールが遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
スケジュールの遅れはあるが、従来通りハードウェアの更新とFPGAファームウェアの開発を並行して実施する。ATLAS実験全体のスケジュールに従いながら、遅れを取り戻し令和3年度中に全数の入れ替えを完了させ、LTDB導入後は、各チャンネルが正しく接続されているか、ノイズは増えていないか、出力信号の線形性に問題は無いか等の動作試験を行いながら進める必要がある。このための管理、運用、そしてデータ解析システムの構築も行う。これらの動作試験は東京にいる大学院生が中心に行う。ファームウェア開発を継続し試験環境などを整備・開発し、令和3年度中に要求される動作が実機でできるものに仕上げ、コミッショニングを通して完成させる。また、コロナ禍で規制されていた海外渡航の条件も緩和されるに従い、本人との同意があれば大学院生もCERNに渡航し、現場でコミッショニングに参加する。
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