研究課題/領域番号 |
19H01907
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
難波 俊雄 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (40376702)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 素粒子実験 / 真空 / レーザー / 自由電子レーザー |
研究実績の概要 |
「真空」に潜む構造(量子電磁気学の場、未発見粒子の場など)を明らかにするために、2種類の方法で研究をおこなっている。 1つ目は、大強度赤外レーザーによって真空をポンプし、X線自由電子レーザー(SACLA)のX線にてプローブをおこなう方法である。2019年6月にSACLAにて実験(0.6TW fs レーザーでポンプ、8.4keV X線でプローブ)をおこなった。この実験では、赤外レーザーは補償光学の利用によって2μmまで集光し、また、X線は新たに微細加工技術によって開発したシリコンシェーパーを使用して低角度発散化している。時間的・空間的位置調整を慎重におこなうことで実験のデータ取得はほぼ予定通り遂行でき、各デバイスの性能もほぼ設計通りであった。結果の詳細については現在解析中であり、近日中に発表、査読誌への投稿をおこなう予定である。また、この手法のシグナルの理論計算をおこなうために重要な方法(波面の曲率の効果を含んだ計算)をまとめて、論文として査読誌(Progress of Theoretical and Experimental Physics)に投稿した。投稿論文は2020年5月に受理され、近日掲載予定である。 2つ目の手法は、SACLAの軟X線のレーザーをX線のビームラインまで導き、両者を衝突させる方法である。ビームラインの基礎設計を進めつつ、SACLAのエンジニアリングスタッフと打合せを重ねた。その結果、2020年度のSACLA基盤開発プログラムに、採択IIのカテゴリとして採択され、計画を進めていくこととなった。また、衝突点の具体的な設計も開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2種類の研究方法それぞれについて進展が得られた。赤外レーザー+X線の手法では、デバイスがほぼ予定通りに機能し、実験データを取得することができた。今後は赤外レーザーの更なる大強度化を視野に研究を進める。軟X線+X線の手法では、基礎デザインが固まり、SACLAの基盤開発プログラムに採択されたことで、現実的なプロジェクトとして進展が始まった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の蔓延にともない、2021年度開始当初の研究活動が大幅に制限されている。このため、活動制限が緩和されるまでは計算機によるシミュレーション、オンラインでのミーティングが主となる。制限緩和後は当初の予定に沿うように進める。
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