研究課題/領域番号 |
19H01911
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
土屋 清澄 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, 名誉教授 (20044787)
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研究分担者 |
増澤 美佳 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (10290850)
王 旭東 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (20550346)
大内 徳人 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (50194080)
菊池 章弘 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (50343877)
町 敬人 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (80415934)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高温超伝導磁石 / 加速器 / REBCO線材 / 超伝導磁石 |
研究実績の概要 |
加速器用超伝導磁石で重要となるキーワード『高磁場』、『高安定性』を念頭に、次世代加速器のための高温超伝導磁石の基礎開発を進めた。具体的内容は以下のようである。1)高温超伝導線材(REBCO線材)を用いた特殊6極磁石のためのスキュー6極コイルの設計とその製作技術の開発を行った。設計は先行研究で開発したノーマルコイルの製作技術を可能な限り活用する方針のもとに行い、実用上問題の無い磁場特性を有するコイル形状を決めることができた。コイル製作技術の開発では、従来よりも高い寸法精度を得るための線材絶縁方式を開発した。2)先行研究で試作したREBCO6極コイルを用いたクエンチ試験の実施と、6極磁石のクエンチ保護法の検討を行った。その結果、現状の6極コイルでは300 Aでも焼損しないようなクエンチ保護が実現可能である事が明らかとなった。3)高磁場磁石ではREBCO線材を4.2 Kで使用することから、磁石設計のために不可欠となる4.2 K、高磁場下でのREBCO線材の基礎的電磁特性データの収集を行った。特に、高磁場特性の向上を狙って製作された人口ピン入り線材の特性を調査した。その結果、従来のピン無し線材に比べ、ピン入り線材の高磁場(15 T)臨界電流値は約2倍に向上している事が分かった。4)高磁場磁石の実現に必須となる大電流REBCO超伝導ケーブルの開発を目指してレーザー加工法による線材の細線化を試み、その特性調査を行った。細線化した線材では安定化銅の剥離が多く見られ、その改善策の検討が不可欠である事が判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)高精度コイルの製作に用いる樹脂の種類、厚さの最適化作業に予想以上の時間を要した。このためスキューコイルの試巻開始が遅れ気味である。 2)試行錯誤を繰り返したが試作コイルのクエンチ保護実験は、各種条件下で行うことができ、期限内に多くのデータを得ることができた。そのデータ解析も順調に進んでいる。 3)REBCO線材の高磁場下(B < 18 T @ 4.2 K)における臨界電流特性の測定は、長年の経験と実績があり比較的順調に進んだ。然し乍ら、線材の細線化作業では、予想以上に安定化銅の剥離が生じ、その原因追求や改善策の検討に時間を要している。 以上のことから、全体の研究はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1)コイルの開発試作、及びその77 Kに於ける特性測定を進めて、スキュー6極コイルの製作を行う。その後、特殊6極磁石(ノーマルコイル+スキューコイル)の試作・組立てを行い、LN2およびLHe温度での励磁試験により磁石の特性を明らかにする。 2)コイルのクエンチ実験結果の詳細解析を進め、REBCOコイルのクエンチ保護方法の一般化を試みる。 3)高磁場REBCO磁石の設計に不可欠となる線材の特性評価を進める。特に人口ピン入り線材の臨界電流特性や臨界温度を明らかにするとともに、その微細組織観察を進め、両者の関係を調べる。又、これらから得られる知見をもとに、さらなる特性向上の可能性や製法の改善点を明らかにする。 4)REBCO線材の大容量化のための基礎的研究を進める。線材の細線化技術の改善および集合導体化の初歩的試みを進める。
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