昨年度ベローズの配管部分を修理したが、今年度の実験開始前の装置組み込み時に再び破損およびリークが発生し、修理を行なった。その後修理した部品の取り付けたところ、石英で作成したキセノン容器が破損したため再製作した。同時に石英容器は製作に数ヶ月要することから、通常のガラス製のキセノン容器を製作し、目視およびビデオカメラによる泡生成確認を優先することにした。ガラス製キセノン容器納品後に再び全ての装置と部品を取り付け、動作確認を行なった後、液体キセノンを導入した試験を行なった。 液体キセノンを用いた泡箱は、純粋なキセノンを用いた場合ガンマ線やベータ線に感度が無く、泡ができないとされている。その一方でプロパンを用いた泡箱では、圧力が上昇するにつれ、アルファ線(約1.5気圧)、陽子(中性子線、約3気圧)、ベータ線(約8気圧)に感度を持つことが知られている。そのため、純粋な液体キセノンを用いてベータ線の泡生成感度を確認するため、ガンマ線源を用いて測定を行なった。確認を行なった圧力は、それぞれ約2気圧、4気圧、6気圧、7気圧で、それぞれベローズにかかる圧力から推定した。いずれも泡の生成は見られなかった。 次に、過去の報告でキセノン以外のガスを混ぜるとガンマ線に感度を持つという報告があるため、メタンガスを少量混ぜて、上記と同様の測定を行なったが、同様に泡生成は確認されなかった。 これまでの測定では、液体キセノンを用いた泡箱検出器においてガンマ線(ベータ線)に対する泡生成は確認されていないが、これまで用意した装置を用いることで、メタン比率を増加させた測定、エチレンを混ぜたキセノンを用いた測定、圧力を10気圧まで向上させた測定を計画している。また、ベローズを動かしているときに、一部細かい固体キセノンが浮かんでいるのが確認されているため、温度勾配のコントロールを見直していくことを予定している。
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