研究実績の概要 |
136-Xeはニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊(0ν2β)の候補核である。通常のキセノンガスにも自然同位体として8.9%を占めるため、暗黒物質直接探索実験のような濃縮されていないキセノンターゲットでも二重ベータ崩壊探索が可能となる。また他に, 124-Xeをターゲットとした二重電子捕獲の測定などもある。暗黒物質探索(<10keV)と0ν2β探索(Q=2458 keV)の大きな違いは探索を行うエネルギー領域にある。しかしながら、本研究では、低バックグ ラウンド、高エネルギー分解能の特性を生かし、大型暗黒物質探索検出器を用いて 暗黒物質だけでなく、二重ベータ崩壊,二重ベータ捕獲などの探索を行った。 XENON1Tデータを用いた探索: 136-Xeをターゲットとした36.16 kg・年のデータを用いて0νββ探索を行い90%CLで半減期1.2×10^{24}年の下限値を得た。この結果はカムランド禅やEXO200など二重ベータ崩壊に特化した実験には及ばないものの暗黒物質検出器としては最も良い感度で探索を行うことができた。 124-Xeをターゲットとして 0.87 kg・年のデータを用いてニュートリノ二重電子捕獲(2νECEC)の探索を行った。この解析にはK殻からN殻までの捕獲を考慮に入れた。半減期 (1.1 ± 0.2 ± 0.1 ) × 1022 yrを測定した。この信号の統計的有意性は7.0σである。 XENONnT: XENONnT検出器の0νββに対する感度を見積もった。275kg・年の緩速データを仮定すると、予想される感度は90%CLでT 0νββ > 2.1 × 10^{25}年、有効マヨラナ質量範囲にして (0.19-0.59) eV/c2 以下に相当する。データは現在解析中である。
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