本研究では、精密光学における光技術と強磁場技術を組み合わせて、微小磁気応答を高感度に測定するのに最適な測定系を構築する。またこれを駆使して高真空下で長期測定を行い、真空の非線形QED過程による磁気応答を検証する。本実験は主に、微小複屈折等の磁気応答を測定するための精密光学系、及びその応答を時間変調してstaticなDC成分と弁別するための強磁場印加部より構成される。光学系については、Nd:YAGレーザーからの1064nm光に対し超高反射ミラーを用いてフィネス50万のFabry-Perot共振器を構成した。また共振器長変動に対して厳しい共鳴条件(FWHM=3pm)を満たすようレーザー周波数をフィードバックする制御系を構築した。磁場系についてはピーク磁場9T、長さ20cmの横磁場を発生可能なレーストラック型パルス磁石を用い、ショットサイクル20sで自動データ取得可能な測定系を構築した。測定帯域としては、磁場のパルス幅約1msに対応する50-500Hz帯のノイズ低減が重要であり、共振器ミラーのSiO2/Ta2O5多層膜で生じる固有複屈折ノイズを調査した。
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