研究課題
中性子数の増加は核子間相互作用の変化を導き、平均場へ影響を与え、ついには原子核の形を球形からレモン型へと変化させて量子相転移を引き起こす。この転移点近傍核で生じる様々な構造が共存する量子力学特有の現象を明らかにするため、本研究では中性子の魔法数20消失現象で有名なMg-32核周辺の「逆転の島」と呼ばれる原子核に注目している。本課題の特徴は、不安定核をスピン偏極して核構造の精密な情報を引き出す我々独自の手法と、独自のレーザー技術により原子構造を解明する手法、を組み合わせた分野融合型で、カナダのTRIUMFで実施する国際共同研究という点である。2022年度にスピン偏極Mg-33核ビームを用いた本実験を実施予定であったが、残念ながら、TRIUMF側の都合により、2023年度に延期となった。そこで、2023年度の夏までは大阪大学で最終の検出器の準備とテスト、装置を送り出す準備を行った。9月に大阪大学の研究代表者と学生1名、研究協力者の九州大学の助教1名と学生1名がTRIUMFで装置の組み立て、回路・データ収集系の調整を行った。この滞在期間中に10月以降のビームタイムの日程調整会議がTRIUMFで行われ、無事に11月29日から12月5日で我々の実験の実施が決定された。11月中旬から再度、TRIUMFで実験直前の準備を行った。9月のメンバーに加えて、大阪大学の研究分担者と学生2名、東京農工大の学生1名、TRIUMFの現地スタッフ2名で、スピン偏極Mg-33核のβ崩壊によるAl-33核の構造解明実験を行った。ビームラインと偏極保持の高磁場発生のための磁石の改良により、今回は約15%という高偏極度ビームを生成できた。無事に実験データを取得でき、学生2名がデータ解析を現在行っている。2023年3月にこの学生たちは国際ワークショップで速報としてデータ解析の途中結果をポスター発表した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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