研究成果の概要 |
東アジア天文台のジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡に代表者らが2017年に概ね完成させた, サブミリ波直線偏波観測装置SCUBA-2 plus POL-2を用いて, 星の母体となる冷たい星間物質の偏波撮像を系統的に多数の天体について行った. この結果, 力学的な平衡状態にかかわらず, 重力のポテンシャル・エネルギーに比べて, 星間乱流と磁場がもつエネルギーの和が同程度であり, 磁場の重要性が明確にわかった. 従来の研究では, 系統運動を除く非熱的運動の運動エネルギーとランダムな磁場がもつエネルギーが平衡であると仮定するが, 0.01 pcのスケールでこの仮定が破れることもわかった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
【学術的意義】冷たい星間物質の磁場観測は, 分子雲など1 pcを超えるスケールではプランク衛星のデータが存在する. 0.01 pc以下の原始星周囲の磁場強度についてはALMA望遠鏡で観測可能である. 本科研費研究で, 両者の中間の構造物である, 分子雲コアのスケールの磁場観測が可能となり, 装置を完成させた(熟知した)グループが系統的な観測に基づき, 上述の一般像を導いたことは, 天文学全体を俯瞰しても大きな意義がある. 【社会的意義】皆無である. 基礎研究に, 即効的な社会的意義を求めることに強い違和感がある. ただし,将来世代が本研究に社会的意義を見出すことを我々は否定しない.
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