本研究は、標準宇宙モデルのほつれの一つと指摘されるmissing satellite問題(モデルが予測する衛星銀河の数と、観測される数が合わない問題)を統計的に検証するものである。すばる望遠鏡Hyper Suprime-Camを用いて観測した9つの近傍銀河の周囲にある衛星銀河を検出し、天の川銀河の衛星銀河の数と比べると、両者は整合的であることがわかった。しかしながら、その空間分布は大きく異なり、天の川銀河の衛星銀河が中心に偏った特異な分布をしていることがわかった。この特異分布の起源はわからないが、天の川銀河は典型的な銀河ではないことを示唆しており、さらなる研究の対象となるべき発見である。
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