研究課題
MAXI発信アラートで短時間X線閃光天体の研究を展開させるために、① MAXIを継続して運用した。今年度の運用も順調であり、2010年3月以来9年間、カメラ6台で高緯度帯を避けた運用を安定して行っている。2019年度は、重力波天文台LIGOのO3観測に合わせて、MAXIの観測時間帯を増やした運用を行った。O3期間中に起きた重力波イベントは、遠距離のものが多く、MAXIだけでなくその他の装置によってもX線対応天体の発見はなかった。② MAXIによる新星の発見を行った。2019年11月2日にMAXI J0637-430 を発見し、MAXIのブラックホール発見数は13個となった。25件の突発現象をAtel(天文学者電報)に、16件のガンマ線バーストの検出をGCN(ガンマ線バースト連携ネットワ―ク)に速報した。重力波やニュートリノのX線対応天体の上限値をGCNに56件、報告した。MAXIによる発見アラートはSwift、Nu-STAR、NICER、HXMTなどのX線天文衛星に通知し、追観測を促進した。MAXI J0637-430は明るくなり小惑星探査機OSIRIS-Rexでも観測された。③ NICERとは、発見3時間後からの追観測開始を目指して、地上連携MANGAのスピードアップを図った。特に時間スケールがMANGAとマッチするRS-CVn型連星などの恒星フレアの観測において貴重なデータが得られた。フォローアップ観測数は2017年からの累計で32件になった。④ MAXI-NICERのISS機上連携OHMANは、日本側ソフトウエアの軌道上での動作検証を行った。アメリカ側もNASA/GSFCの予算申請が通り、NICER本体のスキャンプログラムの開発・実装などが行われた。そのほか、日本天文学会発行の天文月報にMAXI特集が組まれ、13編、のべ62ページの記事が掲載された。
3: やや遅れている
研究実績の概要③について、2019年7月、地上連携MANGAを主として開発してきた研究協力者が、急遽、他研究所に転出となり、同月以降予定していた地上連携MANGAのスピードアップを行うことができなくなった。①②については、予定通り進んでいる。④については、NASA側の準備は遅れているが、日本側の準備は予定通り進めた。
研究実績の概要で示した、①から④の研究目的について、一部遅れはあるものの、研究を遂行する上での問題点は無く、今後も予定通りに各項目を推進する。
すべて 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
Astrophysical Journal
巻: 885 ページ: 123 (19pp)
10.3847/1538-4357/ab48e4
Astrophysical Journal Letters
巻: 874 ページ: 25 (7pp)
10.3847/2041-8213/ab101a
Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: 71 ページ: id108 (18pp)
10.1093/pasj/psz091
http://maxi.riken.jp