研究課題/領域番号 |
19H01947
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石渡 正樹 北海道大学, 理学研究院, 教授 (90271692)
|
研究分担者 |
高橋 芳幸 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (00372657)
中島 健介 九州大学, 理学研究院, 助教 (10192668)
小倉 知夫 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 主幹研究員 (10370264)
はしもと じょーじ 岡山大学, 自然科学学域, 教授 (10372658)
竹広 真一 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (30274426)
須藤 靖 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (90183053)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 地球型系外惑星 / 大気大循環モデル / 気候レジーム図 / 惑星表層環境推定 |
研究実績の概要 |
多様な惑星を想定した大気大循環モデル実験を実施した. 具体的な研究内容は以下の通りである. (A) 灰色大気を持つ海惑星の気候多様性に関する実験: 昨年度は, 以前に我々が実施した水惑星太陽定数変更実験 (Ishiwatar i et al., 2007) の修正を行う論文の出版を行なった. これにより, 熱容量無し・海洋循環無しの場合の気候レジーム図がアップデートされ気候の多様性に関する考察基盤が整備された. これを受けて, 海洋循環を考慮した場合について太陽定数変更実験を実施した. これにより, 気候レジーム図の作成を進めることができた. 現在その成果を論文として出版する準備を行なっている. (B) 非灰色大気を持つ水惑星の太陽定数変更実験 : 非灰色大気を持つ水惑星の GCM 実験を実施し, 太陽定数が 1600 W/m**2 程度で暴走温室状態が発生することを示唆する結果が得られた. この太陽定数臨界値は灰色の場合と似た値になっているがそれが射出限界と対応したものとなっているかどうかを確認することが次の課題となる. (C) 陸惑星の完全蒸発状態の発生に関する数値計算: 表層の水量が非常に少ない陸惑星設定において自転傾斜角として地球の値を用いた太陽定数増加実験を実施し, 陸惑星の表面から全ての土壌水分が蒸発する完全蒸発状態が発生する可能性が示された. (D) 同期回転惑星における夜半球の氷床が気候に与える影響評価: 自転周期と公転周期が等しくなり, 固定された夜半球と昼半球をもつ同期回転惑星においては夜半球に輸送された水蒸気が氷床として固定されることにより氷表面の標高が増加することが考えられる. この効果をとり入れた実験を実施したところ, 氷表面の標高増加による地形効果は昼半球の温度に及ぼす影響は小さいことが示唆された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では, GCM 実験で得られた結果を模擬観測することをメインに考えていたが, 一昨年度に, 海洋循環無し・灰色大気の場合の気候レジーム図 (Ishiwatari et al., 2007) の作成に用いられていた GCM にバグが発見されたため, 計画を大幅に変更した. 模擬観測で必要となる気候状態データ, および気候の太陽定数依存性を示す気候レジーム図として正確なものを整備することに重点をおくことにした. このため,今年度は灰色大気で海洋循環を考慮した場合の気候レジーム図を完成させることに特に力を入れることにした. 今後もこの方針を継続し, 以下に述べるように多様な場合の気候レジーム図の作成を目指す.
|
今後の研究の推進方策 |
模擬観測など系外惑星の表層環境推定に必要となる理論的な基礎情報を整備することに集中する. 具体的には, 多様な設定における気候レジームの作成, またはそのための計算結果の蓄積を行う. まずは, もっとも簡単な灰色大気の場合の気候レジーム図を完成させる. 昨年度は海洋循環を考慮しない場合の気候レジーム図をアップデートした. 今年度は海洋循環を考慮した場合の気候レジームの作成作業を行うことができたので, 今後はこれを投稿論文の形で発表する. これと並行して, 非灰色大気の場合, 陸惑星の場合, 同期回転惑星の場合の気候レジームを作成するための数値実験をできるだけ推進する.
|