研究課題
コマ型形状形成の数値シミュレーションの論文化、砂山の回転変形実験結果の詳細解析・物理的解釈・論文化、小惑星リュウグウの表面流動の画像解析・論文化などに主に取り組んだ。概ね計画通りに進み、2022年度(繰越年度)までに計画していたほとんどの論文を公表した。ただし、繰越を行ったものの、COVID-19の影響で、平滑化粒子法(SPH法)の数値シミュレーション結果を有限要素法の結果と比較する計画については十分に行えなかった。SPH法のシミュレーションによって、小天体が数百Paの付着力に相当する実効的摩擦角を持つ粉体層から構成されていれば、高速自転でコマ型形状が形成されること、自転の加速率が小さいほど非軸対称な形状となり易いことなどを明らかにした論文が国際誌に掲載された。これは楕円体/コマ型の形状の違いが付着力によって決まることを示唆する重要な成果であると評価できる。実験研究において得られた成果は、(1)砂山粉体層の高速回転実験装置の開発とそれを使用した実効的付着強度測定法の開発、(2)砂山粉体層の回転変形を説明する粉体摩擦モデルの開発と粉体摩擦特性挙動の解明、(3)それらの回転速度変化履歴に対する依存性、(4)粉体層表面への固体接触による変形に関する基礎実験研究であり、それぞれ論文として国際誌に掲載された。変形時の砂粒の流動は数粒子程度の表面薄層に限られることを明らかにしたことは特筆される。画像解析からは、リュウグウの自転速度が現在より速くなると、実効斜面方向と岩塊の配向との相関が弱くなることがわかり、岩塊の配向が最近作られたことがわかった。また、メートルサイズの小クレーターの数の統計から、それらが消去される表層過程があることや、はやぶさ2が作った人工クレータ周辺の前後変化の解析から、地震動によって移動したらしい岩塊を発見するなどの成果を複数の論文として国際誌に公表した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 5件、 査読あり 11件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件)
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