研究課題/領域番号 |
19H01957
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
福原 哲哉 立教大学, 理学部, 助教 (70435808)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 月 / 衝突 / 熱赤外 |
研究実績の概要 |
月面への流星体衝突によって生じる閃光の検知を、熱赤外カメラ(波長10ミクロン)を用いた地上観測によって世界で初めて成功させるため、専用の熱赤外カメラの開発に取り組んだ。最新の非冷却ボロメータ検出器である仏国ULIS社製の「UL05251」を採用した読み出しモジュールを、大阪に本社があり熱赤外カメラの知見が豊富な(株)ビジョンセンシングとともに新規設計・製作した。この検出器は素子サイズ17ミクロン/pixel 、素子数1024x768を誇り、同種の検出器の中で最も高い感度と精細な画像を提供する。しかしフレームレート60HzのVGAタイプの検出器であるため、16bitのデジタルデータを連続画像として出力するには多量のデータを取り込む必要がある。数十ミリ秒の閃光を画像劣化なく検出するため、連続画像を無圧縮で外部の高速記録媒体に保管するためのソフトウエアを開発した。 地上観測に先立ち、JAXA宇宙科学研究所の真空槽を利用した衝突閃光実験を行った。この実験では直径6mmのポリカーボネート球を月面を模擬した石英砂に真空環境下で衝突させ、その様子を熱赤外カメラを用いて撮像した。結果、連続画像から衝突の様子を動画として抽出できることを確認した。さらに、撮像時より数ミリ秒前の衝突直後における地表面の温度を、連続画像から得られた地表面の輝度温度を用いて外挿によって推定する手法を考案し、算出を試行した。結果を理論値と比較した結果、妥当な値であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最新の非冷却ボロメータ検出器である仏国ULIS社製の「UL05251」を採用した読み出しモジュールは、フレームレート60HzのVGAタイプの検出器であるため、16bitのデジタルデータを連続画像として出力するには多量のデータを取り込む必要があるために開発課題となっていたが、連続画像を無圧縮で外部の高速記録媒体に保管するためのソフトウエアを開発できたことで課題が解決できた。 JAXA宇宙科学研究所の真空槽を利用した衝突閃光実験では、衝突の様子を熱赤外波長の動画として抽出することに成功した。衝突直後の地表面の温度を、連続画像から得られた地表面の輝度温度を用いて外挿によって推定する手法が確立できたことは、今後の観測に向けて大きく前進したと言える。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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