研究課題/領域番号 |
19H01958
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
尾花 由紀 大阪電気通信大学, 工学部, 准教授 (50398096)
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研究分担者 |
坂口 歌織 国立研究開発法人情報通信研究機構, 電磁波研究所宇宙環境研究室, 主任研究員 (60598994)
細川 敬祐 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80361830)
能勢 正仁 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (90333559)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | cold plasma / magnetosphere / plasmasphere / ionosphere / ULF wave / VLF wave |
研究実績の概要 |
ニュージーランドのミドルマーチ観測点では2011年よりフラックスゲート磁力計が稼働して地磁気三成分の1秒値観測が行われている。ここに新しく誘導磁力計と高感度全天カメラを設置し、ULF波、VLF波、オーロラ発光の同時観測体制を確立した。 このプロジェクトでは、放射線帯効果粒子による孤立オーロラの発光と、粒子降下を引き起こすイオンサイクロトロン(EMIC)波動を同時観測することで、地球にごく近い深内部磁気圏においてEMIC波動に起因する放射線帯消失が生じていることを立証し、さらに、地磁気嵐に伴うプラズマ圏の収縮と放射線帯消失の因果関係を解明することを目指している。 これまでのところ、波動とオーロラ発光の同時出現イベントは確認されていないが、Pc 1型地磁気脈動と電離層アルフベン共振器(Ionospheric Alfven Resonator, IAR)が観測された。2020年10月6日に観測されたPc 1はIPDP(Interval of Pulsations of Diminishing Period)タイプのPc 1であり、約3-4時間の周期的な間隔で4つのPc 1イベントが観察された。これらのイベントは、北半球にあるカナダとアイスランドの4つの観測点でも同時に観測されていた。またこれと継続するようにしてIARが発生していた。この日のIARのパワースペクトル密度は10月4日と5日のIARのそれよりも強く、Pc1からIARへの波動エネルギーの移行を示しているように見える。これらの結果は、これまでの研究で提案されているように、IARが雷放電からではなくPc1脈動からも励起エネルギーが供給される可能性を示しており興味深い。 これらの研究成果は地球電磁気・地球惑星圏学会講演会で発表されたほか、現在学術誌で発表するための論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響で海外における観測機器の設置・調整作業が行えないため、万全の観測体制が取れないでいる。現在は仮設置の状態での運用を続けている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は なるべく早い時期に研究代表者・分担者がニュージーランドへ出張し、誘導磁力計とオーロラカメラの調整作業を行い、本観測(ULF波、VLF波、オーロラ発光の同時観測)を開始したいと考えている。これまでの予備観測で観測地の電磁波ノイズレベル、光害の少なさは実証されているので、安定的に機器を運用することで良質なデータを取得できると考えている。これにより、放射線帯効果粒子による孤立オーロラの発光と、粒子降下を引き起こすイオンサイクロトロン(EMIC)波動を同時観測し、地球にごく近い深内部磁気圏においてEMIC波動に起因する放射線帯消失が生じていることを立証する。さらに、研究プロジェクトの主目的である「地磁気嵐に伴うプラズマ圏の収縮と放射線帯消失の因果関係」解明を目指す。
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