研究課題/領域番号 |
19H01961
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
深町 康 北海道大学, 北極域研究センター, 教授 (20250508)
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研究分担者 |
大島 慶一郎 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (30185251)
二橋 創平 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (50396321)
伊東 素代 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(北極環境変動総合研究センター), 副主任研究員 (60373453)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 海氷 / 北極海 / 海氷厚 / 係留観測 / 衛星観測 |
研究実績の概要 |
日本の研究船での海中設置の測器の回収は叶わなかったが、アラスカ大学フェアバンクス校の研究協力者によって、2021年夏季に測器の回収を無事に行うことが出来た。これで、東部チュクチ海アラスカ北部沿岸域での海氷・海洋の時系列データの長さは12年分(2009-2021年)となった。 同海域におけるこれまでの海洋の係留観測データ(2009-2019年の10年分)を、衛星観測から導出した海氷生産量データ、大気データと共に用いて、同じ北東風に起因する潜熱と暖水の湧昇によってこの海域に出現する開氷・薄氷域(高海氷生産量域)の特徴と海洋の状態、およびそれらの近年の変動などについて調べた。海氷生産量と暖水の湧昇については、年々変動が大きく、顕著な長期トレンドは無いことが明らかになった。また、夏季から秋季にかけての水温が近年上昇していること(特に、2016年以降)、暖水が長期に渡って存在することにより秋季の結氷開始時期が遅くなることと北極海盆への熱輸送量が増加することも明らかになった。更に、大西洋に起源を持つ暖水の湧昇によって結氷開始時期の遅延が長くなる場合も見られた。近年の水温上昇については、ベーリング海やチュクチ海のローカルな影響だけでなく、リモートな影響もあることを示している(Hirano, Fukamachi, Ohshima et al., 2022, Progress in Oceanography)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
測器の回収は実施できたが、データのダウンロードについては、我々がアラスカへ渡航する条件が整わなかったことから、まだ実施できてはいないため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はまず、2023年夏季にアラスカへ渡航し、観測データのダウンロードを実施する。その後、これまでのデータと合わせて12年分の海氷厚データを用いて解析を実施する。
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