研究課題
コロナ禍により今まで現地へ赴けなかった北極チュクチ海観測拠点バロー及びアラスカ大学に2023年10月に訪問し、2019年~2021年の2年間のチュクチ海での係留系観測データを取得した。これにより、バロー沖では2009年より連続して12年間に及ぶ、海氷厚、海氷漂流、海洋流速、海水温、塩分のデータセットを取得することができた。北極チュクチ海では、このような高精度の海氷・海洋同時観測データを連続して12年間取得した例はなく、貴重なデータを得ることができた。今年度は、分担者大島により12年間のADCPの後方散乱強度データの導出と解析を行った。ADCP散乱強度からは、フラジルアイス、海底堆積物の巻き上がり、動物プランクトン活動を捉えることができる。動物プランクトンに関しては、ボーフォート高気圧の変動に対応するような特徴的な変動を抽出することができた。これらのデータと海氷厚・海氷漂流データを比較することで、海氷変動と物質循環・生物活動との関係解明につながると考える。分担者伊東によっては、「みらい」や外国の砕氷船による船舶観測データから、太平洋側北極海公海の比較的浅い海域に位置するチュクチ海台で低酸素化・酸性化が進んだ海水の広がりを初めて捉えることに成功した。この現象は、北極海の海氷減少に関連した海洋循環の変化に伴ったものと考えられ、今後の海洋環境の変化と生態系への影響が危惧される。なお、海氷厚の解析に関しては、コロナ禍により2019~2021年のデータ取得が遅れたことに加え、研究代表者の体調不良により、十分な進展は得られていない。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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