研究課題
昨年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、長崎大学水産学部練習船・長崎丸の航海そのものが中止されてしまったが、今年度は乗船制限が緩和され、計画通り7月11-19日に東シナ海陸棚斜面域において観測航海を実施することができた。乱流微細構造プロファイラー(TurboMAP)を用いて乱流運動エネルギー散逸率、水温・塩分、濁度を、5ビーム超音波ドップラー多層流向流速計(ADCP)を用いてビーム方向流速を計測した。従来型ADCPの6倍のサンプリング周波数で計測する設定と、従来型ADCPとサンプリング周波数は同程度で鉛直流速を計測する設定の、2台の5ビームADCPをほぼ同地点の海底に設置し、潮汐流の鉛直シアーならびに非線形内部重力波の通過に伴う乱流運動エネルギー生成率の時間変動を観測することに成功した。さらに、これら5ビームADCPの近傍で、一潮汐周期にわたるTurboMAP観測を行うことで、海底混合層内における乱流プランドル数(渦粘性係数と渦拡散係数の比)がラージ・エディー・シミュレーションから示唆された値とほぼ一致することを明らかにした。また昨年度までに実施してきた、非静水圧モデルkinacoを用いたtidal strainingの数値シミュレーションに、これまで考慮されていなかった等深線沿い方向の潮汐流の効果を加えた結果、粒径の大きな粒子の斜面を下る方向への移動が抑制され、潮汐流で巻き上げられた粒子が等深線上を移流されつつ、粒径に関わらず斜面を登る方向に移動していくという興味深い結果が得られた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Physical Oceanography
巻: 52 ページ: 3179~3198
10.1175/jpo-d-21-0245.1