研究課題
本研究は、衛星データ同化と台風メカニズム解明という2つの課題からなるが、本期間は特に①ひまわり全天候同化、②マイクロ波陸域利用、③衛星風ライダー(Aeolus衛星)利用、④台風外出流の影響調査、⑤トラフや偏西風との相互作用評価、というサブ課題の進捗があった。サブ課題①では、水蒸気や気温を中心に解析・予測が大きく改善すると共に、バイアス補正の不適用など先行研究の問題点を指摘した。サブ課題②は、地表面射出率と地表面温度を同時推定する手法の考案・実証によって、概ね予測を改善する効果を確認した。サブ課題③は、Aeolus衛星同化が台風進路予測を大きく改善することを示し、その改善をもたらすメカニズムについて台風と観測との位置関係を明らかにした。台風発生についても、Aeolus衛星同化が中下層の低気圧性循環の強化や水蒸気量の増加等をもたらし、早期形成と維持をより正確に予測することを示した。また2019-2022年のAeolus衛星観測を、ウィンドプロファイラー観測と比較し、Aeolus風データの誤差は観測要求を満たさないものの品質は妥当であることを明らかにした。サブ課題④では、外出流域の気温を用いた台風のポテンシャル強度理論に海洋冷却の効果を含んだ式を導出し、外出流域の気温によって、台風による海洋冷却の度合いも変化することを示した。サブ課題⑤では、2012年台風第12号が比較的に高い緯度で発生した要因について、大気追跡風や高解像度シミュレーション結果を解析し、中緯度起源の上層トラフが熱帯とは異なる傾圧的なプロセスを通じて台風を発生させたことを明らかにした。また、2019年台風第15号と第19号の大きさおよび構造の違いについて解析し、台風の大きさの違いが、偏西風ジェットとの相互作用と偏西風ジェットの南北振幅の強化を通して、顕著な台風非対称構造をもたらし得ることを示した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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