研究課題/領域番号 |
19H01975
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
石戸谷 重之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (70374907)
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研究分担者 |
坪井 一寛 気象庁気象研究所, 気候・環境研究部, 主任研究官 (10553167)
村山 昌平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 総括研究主幹 (30222433)
森本 真司 東北大学, 理学研究科, 教授 (30270424)
菅原 敏 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (80282151)
石島 健太郎 気象庁気象研究所, 気候・環境研究部, 研究官 (90399494)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 大気組成拡散分離 / 大気中酸素・アルゴン濃度 / 大気主成分同位体比 / 温暖化影響評価 |
研究実績の概要 |
つくば市産総研構内における大気主成分の濃度・同位体比連続観測を質量分析計の保守点検を不断に行うことで継続し、気象庁の南鳥島観測所と綾里観測所において継続されている酸素濃度連続観測データも合わせた比較解析を進めた。山岳サイトである産総研飛騨高山森林観測所での高精度データ取得のため、酸素濃度連続観測装置を製作した。気象庁と防衛省の共同研究により東京-南鳥島間C-130H輸送機上で採取された大気試料、および仙台-伊丹間のJAL旅客機上で東北大学により採取された大気試料について、主成分濃度・同位体比を質量分析計により分析し、大気組成の拡散分離を評価・補正することで、酸素濃度の高精度観測を行った。大樹町上空における成層圏大気採取実験は次年度以降に延期になったことから、過去の成層圏大気重力分離データの解析等を進めるために、二次元モデルを使用したアルゴン濃度のシミュレーションを推進した。成層圏観測の高頻度化を目指した小型気球搭載型のCO2濃度分析計や大気採取容器の検討に着手した。大気輸送モデルによる酸素とCO2濃度のシミュレーションを、南北両半球の地表フラックスを与えた場合と北半球のみのフラックスを与えた場合の二通りで行い観測と比較した結果、上空の酸素濃度季節変動は、CO2の場合よりも顕著に半球間大気混合の影響を受けることが示唆された(両成分の地表における南北半球季節変動の違いを反映)。得られた結果の一部を国内学会等で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成層圏大気採取実験は次年度以降に延期になったが、地上および航空機観測と各種の解析については当初計画通りの進捗が見られたため。
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今後の研究の推進方策 |
R1年度末からのコロナウィルス感染拡大の影響を受けて複数の実験・観測の実施が困難になっていることから、当初計画に対して若干の遅れが生じることは避けられないが、現時点で継続できている地上観測等を維持するとともに、観測再開時に速やかにサンプル分析を行うことができるよう分析装置の精度維持に努める。また、新たに製作した酸素濃度連続観測装置の室内実験や、成層圏観測の高頻度化を目指した小型気球搭載型装置の試作を進める。大気輸送モデルによる地上の酸素およびアルゴン濃度のシミュレーションと、成層圏大気の重力分離のシミュレーションを行い、得られた観測結果と比較することで、半球間大気混合や成層圏循環等の大気輸送の評価を進めるとともに、二酸化炭素循環と海洋貯熱量の評価も開始する。
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