研究課題/領域番号 |
19H01976
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
安成 哲平 北海道大学, 北極域研究センター, 助教 (70506782)
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研究分担者 |
松見 豊 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 研究員 (30209605)
内藤 大輔 京都大学, 農学研究科, 助教 (30616016)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 森林火災 / PM2.5 / 大気汚染 / ロシア / シベリア / 極東 / 地域研究 / 北極 |
研究実績の概要 |
新型コロナウィルスによる世界的なパンデミックより、現地ロシアへの訪問や調査・観測機器設置の延期を余儀なくされた。この間、日本国内で進められるデータ解析などにより研究を進めた。シベリア森林火災増加の気候モデル感度実験シミュレーションから得られたアウトプットを解析し、火災による大気汚染が気候、経済に与える影響を評価した結果を発表し、論文執筆を開始した。また、北極域のPM2.5年々変動における増加時の要因を調べ、そのPM2.5増加時の近年の気候パターンの特徴も詳細に調べた。その結果、西欧の熱波と、シベリア・亜寒帯北米の火災が同時に起こりうる気候パターンが北極域で夏季にPM2.5が増加する時に見られることがわかった。また、寒冷地仕様PM2.5測定装置のプロトタイプの検証結果などについて研究発表を行った。コロナ禍の拡大により、極東ロシアへの渡航ができなくなってしまったため、オンラインで、現地パートナーであるロシア科学アカデミーハバロフスク支部のカウンターパートと打ち合わせを行い、森林火災の影響に関するGISを使った調査や煙害における社会的影響に関する文献研究を実施した。パナソニックと共同で名古屋大学が開発した小型の粒子状物質PM2.5のセンサと、市販のCO、NO2、オゾンなどのガス状物質の大気濃度を測定する電気化学センサを組み合わせた小型でローコストな複合的な大気計測装置を開発した。各センサの信号処理とデータのサンプリングおよび記録・保存を小型のCPUで行なうソフトウエアを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスの蔓延による世界的パンデミックで、現地ロシアへの訪問・観測が延期となり、当初の予定としての現地観測・現地調査の観点からは研究が延期となった。その一方で、その間、他のことで研究を十分進めることができ、データ解析や論文執筆など可能なことを進めることで、進捗が得られた。現地調査においては、コロナ禍の拡大により、渡航ができず、オンラインで打ち合わせをし、研究を続け、これまで収集した情報をもとに論文の執筆を続けた。小型の大気計測装置は、無人で自動的に計測を行い、その測定結果をインターネットを通じて取得できるようになっている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスによるパンデミックの状況が今後どのようになるかによって、現地ロシアへの訪問・観測の予定が変わってくるため、その状況を注視した上で、現地観測・調査予定を検討・準備をする。一方、現地で出向かず進められる今年度進めたような、機器開発と検証、データ解析、オンラインの打ち合わせなどで行える研究は引き続き進め、そちらで進捗が得られるように進めていく。機器開発に関しては、これから実際の大気環境を、開発した大気計測器で測定し、その結果を大型の装置の計測結果と比較してその精度を検証する。
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備考 |
(2) 北極域の森林火災と西欧熱波を同時誘発させうる気候パターンを初めて特定~北極域とその周辺で起こる夏季森林火災と熱波同時発生予測手法の発展とその高精度化への期待~(北極域研究センター 助教 安成哲平) (3) Newly identified atmospheric circulation enhances heatwaves and wildfires around the Arctic
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