研究課題/領域番号 |
19H01986
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
市山 祐司 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (90625469)
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研究分担者 |
木村 純一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), 上席技術研究員(シニア) (30241730)
熊谷 英憲 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(海底資源センター), グループリーダー (10344285)
伊藤 久敏 一般財団法人電力中央研究所, 地球工学研究所, 上席研究員 (50371406)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | みかぶ帯 / 三波川変成帯 / クロムスピネル / 微量元素 / 白金族元素 |
研究実績の概要 |
三波川変成帯に分布する超苦鉄質岩類の成因と起源を明らかにするため、野外調査と試料採取を実施した。そのうち、東赤石岩体と藤原岩体で採取した超苦鉄質岩とみかぶ帯、空知・蝦夷帯のピクライト中に含まれるクロムスピネルの微量元素(白金族元素を含む)の測定をレーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて実施した。みかぶ帯と空知・蝦夷帯のピクライト中のクロムスピネルの微量元素組成は同じ特徴を有する。白金族元素では、Ruの正異常を持つ初生マントル規格化パターンを示し、中央海嶺玄武岩(MORB)のスピネル組成で規格化パターンでは、Tiに正異常を持つフラットな微量元素パターを示す。このような特徴は、原生代初期のコマチアイトやプルーム起源のピクライトに含まれるクロムスピネルに類似する。一方、東赤石岩体の超苦鉄質岩中のスピネルは、明瞭なRuの正異常を持たず、MORBに比べてGa、Ti、Niに乏しいパターンを示し、島弧火山岩類の特にボニナイトに含まれるクロムスピネルの特徴に類似する。藤原岩体の超苦鉄質岩は、白金族元素に乏しく検出限界以下であったが、その他の微量元素の特徴はみかぶ帯ピクライトに類似しており、類似の起源が示唆される。今後は残存単斜輝石の微量元素分析を行うことによって超苦鉄質岩類の成因と起源を解明する。さらにマントルプルーム起源と考えられるみかぶ帯と空知・蝦夷帯中の火成岩類(玄武岩、ピクライト、斑れい岩)の起源マントル物質の特徴を明らかにするため、全岩微量元素分析とNd-Hf-Pb同位体分析の準備を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
三波川帯超苦鉄質岩類とみかぶ帯・空知蝦夷帯ピクライトのクロムスピネルの微量元素組成の特徴をおおよそ捉えることができた。みかぶ帯と空知・蝦夷帯中の火成岩類の全岩微量元素分析とNd-Hf-Pb同位体分析にかんしては、新型コロナウイルスの影響により、分析が予定より進まなかったものの、全体としておおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
三波川変成帯の超苦鉄質岩類については、残存単斜輝石の微量元素分析を行うことでそれらの成因と起源を検討する。また、調査した岩体以外の超苦鉄質小岩体についても野外調査と試料採取を行う。超苦鉄質岩に伴う苦鉄質岩類について、ジルコンを抽出することでU-Pb年代測定を行い、形成年代の特定を行う。みかぶ帯と空知・蝦夷帯中の火成岩類の起源マントル物質の特徴を明らかにするため、全岩微量元素分析とNd-Hf-Pb同位体分析を実施する。
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