研究課題
三波川変成帯に分布する超苦鉄質岩類の成因と起源を明らかにするため、野外調査と試料採取を実施した。前年度の東赤石岩体と藤原岩体に加え、泥質片岩に伴う蛇紋岩を網羅的に採取した。一部の試料について、レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて、試料中のクロムスピネルと単斜輝石の微量元素測定を実施した。マントルプルーム起源と考えられるみかぶ帯と空知・蝦夷帯中の火成岩類(玄武岩、ピクライト、斑れい岩)の起源マントル物質の特徴を明らかにするため、全岩微量元素分析とNd-Hf-Pb同位体分析を行った。その結果、次のことが明らかとなった。1)全岩微量元素測定結果と調和してNd-Hf初生同位体値は変化し、異なる起源物質を示唆する。2)同時期に形成されてと考えられるシャツキーライズの玄武岩とは全体として異なるNd-Hf初生同位体値を示し、異なるマントルに由来する。3)Nd-Hf初生同位体値は、カリブ・コロンビア海台の超苦鉄質火山岩の値に類似する。これらの結果は、ジュラ紀末古太平洋マントルプルーム活動の詳細に束縛条件を与えるものと期待される。
2: おおむね順調に進展している
みかぶ帯と空知・蝦夷帯中の火成岩類の微量元素と同位体組成分析を終えることができた。三波川変成帯中の超苦鉄質岩類については、試料採取を網羅的に実施することができ、おおむね順調に進展している。
三波川変成帯の超苦鉄質岩類について、野外での産状と鏡下での特徴をまとめ、レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析装置による残存単斜輝石とクロムスピネルの微量元素分析を行うことでそれらの成因と起源を検討する。
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