研究課題/領域番号 |
19H01990
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
森下 知晃 金沢大学, 地球社会基盤学系, 教授 (80334746)
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研究分担者 |
芳川 雅子 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 研究員 (00378605)
牛久保 孝行 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 副主任研究員 (10722837)
海野 進 金沢大学, 地球社会基盤学系, 教授 (30192511)
清水 健二 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 副主任研究員 (30420491)
仙田 量子 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (50377991)
水上 知行 金沢大学, 地球社会基盤学系, 助教 (80396811)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 海洋プレート / 地殻・マントル境界 / 海洋プレートの含水量 / 太古溶融 / 海洋プレートの加水 / 海洋プレートの変質 |
研究実績の概要 |
海洋プレートの沈み込みに伴う水循環を担っているプレート中の含水量およびプレートテクトニクスが起きるためのプレート強度問題を解明するため,本研究では,モホ面(地殻/マントル境界)近傍岩石中の水の存在形態(無水鉱物中の水量と岩石―水反応によってできる岩石)の解明に取り組んでいる。現段階では,これまで得られた試料の中で,上記の問題解明に最も適した試料で地表に露出した過去の海洋プレートの地殻/マントル境界層相当の試料などを用いて解析を行っている. 1)モホ面近傍を構成する海洋プレート起源岩石の検討:過去の海洋プレート起源に由来する試料の中でも特にモホ面近傍を構成していたと思われる試料を研究対象とした.試料中には予想以上に含水鉱物が含まれていることがわかってきたことから,プレートの含水過程が海嶺系で形成されたものか,その後の改変によってもたらされたものなのかについて検証が必要である. 2)水のプロキシ元素含有量の深部方向変化:水含有量の直接分析ができなかったことから,水元素のプロキシとなる流体移動性元素の測定を行なった.その結果,カンラン石中の微量元素組成に多様性があることがわかってきたので,その成因との関係を検討していく. 3)マントル物質の加水低温変質物:海洋プレートが形成された後に,海水の流入などの影響によって組成が改変する可能性が高い.そこで,Sr, Nd同位体を測定している.その結果,局所的に異なる流体の流入の可能性,及び、全体に海水の影響が記録されていることがわかってきた. 4)『過去に溶融を経験した物質』の海洋プレートへの混合の影響:カンラン岩や未分化のはんれい岩の溶融年代の議論に使えるのはOs同位体組成であることから,Os同位体組成を測定している.今のところ,数億年を超える古い溶融年代を示すデータは出ておらず,海嶺などの環境で形成された岩石のみが検出されている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
想定していた無水鉱物の含水量直接分析が,試料準備の難しさと,研究所へのアクセスの困難さによって進めることができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
無水鉱物中の含水量測定:ようやくこれまでの分析試料準備の困難さを克服する目処が立ってきたため,まずは予察的な測定を行い,これらの結果を受けて,大量に分析を行う準備は整っている. 試料中の含水鉱物の特徴とその成因:海洋プレートモホ面近傍試料中に,含水鉱物が多く含まれていることがわかってきたことから,これらの含水鉱物の水の起源や,水流体の起源となるテクトニックセッティング,および改変における影響について検討していく. 海洋プレート含水量とその要因:引き続き,微量元素分析,Sr, Nd, Os同位体測定を行い,含水量測定値,記載岩石学的特徴を組み合わせていくことで,海洋プレートが元々持っていた含水量と,海水などとの反応によって変化し,加水した量について検討を進めていく. 総括:これらのデータを元に,次の大型研究計画について検討していく.
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