研究課題
南極セール・ロンダーネ山地(SRM)の形成過程を理解し、地殻深部における塩水流体活動の温度-圧力-時間条件と流体の起源を明らかにする目的で、以下の研究を行った。①SRM西方パーレバンデ南島の変成岩類が、付近に貫入した花崗岩に由来する塩水流体の流入を記録していることを明らかにした。②中央SRMメーニパのCaザクロ石を置換する、流体活動に伴ってできたと考えられる石墨の炭素同位体比を測定したところ、典型的な生物起源の値を示すことがわかった。③中央SRMメーフィエルの泥質片麻岩の温度-圧力履歴を構築したところ、時計回りの履歴である可能性が高いことがわかり、従来のSRM形成モデルの修正が必要であることがより確実になった。SRMと比較する地域の研究については以下のような成果を得た。フィリピン・パラワン島に露出する温かいプレート沈み込み帯の変成岩中では、現在の塩水に近い塩濃度の流体の活動に伴って岩石-水反応による元素移動が起きていたことがわかった。全岩組成分析をもとに解析した結果、Si,Na,K,Baは溶脱しAl,Zr,Thは濃集したことや、この元素挙動が、流体活動時に安定であった変成鉱物の種類に支配されていたことがわかった。南極リュツォ・ホルム岩体のルンドボークスヘッタに産する超高温変成岩の詳細な温度-圧力-時間-溶融履歴を構築することに成功し、昇圧を伴う昇温変成期の存在と時計回りの温度-圧力-時間履歴を実証し、高温継続時間が4000万年を超えるものであったことを明らかにした。また、明るい岬の苦鉄質岩露出地域に産するコーネルピンや電気石のホウ素同位体組成をもとに、エディアカラ紀~カンブリア紀にかけて、堆積岩やマントル橄欖岩などが混合するプレート沈み込み帯が明るい岬に存在したことを提案した。さらに領家帯の部分溶融した中部地殻では、水流体の間欠的な流入が起きていたことを明らかにした。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (35件) (うち国際学会 7件) 備考 (1件)
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https://www.eps.sci.kyoto-u.ac.jp/research/advance/11/index.html