研究課題/領域番号 |
19H01998
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
石川 晃 東京工業大学, 理学院, 准教授 (20524507)
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研究分担者 |
横山 哲也 東京工業大学, 理学院, 教授 (00467028)
佐藤 峰南 千葉工業大学, 次世代海洋資源研究センター, 上席研究員 (20773394) [辞退]
角野 浩史 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (90332593)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マントル / かんらん岩 / ハワイ諸島 / 強親鉄性元素 / オスミウム同位体 / ヘリウム同位体 |
研究実績の概要 |
昨年度に調整した希ガス抽出手法を使うことにより、ハワイ諸島産マントル捕獲岩のうちハワイ火山と成因的関係が示唆されるカウラ島産かんらん岩およびオアフ島ソルトレーククレーター産かんらん岩の各種希ガス同位体比測定を実施した。その結果、岩石試料から分離されたかんらん石に含まれるヘリウムの同位体比(3He/4He比)と全岩化学組成やオスミウム同位体組成の間に相関関係があることが判明した。このことは捕獲岩を構成するかんらん石の多くは母岩マグマに汚染されることなく、マントル深部の情報あるいは岩石形成時の情報を記録していることを示している。また見出された相関関係によると、メルト成分に枯渇したかんらん岩ほど低い3He/4He比を示す一方、メルト成分に富むかんらん岩は中央海嶺玄武岩から推定される上部マントルの3He/4He比よりも高い値を示すことが明らかとなった。この結果は、U/Heの分配実験に基づく先行研究により予測されていた傾向と矛盾しており、高い3He/4He比を持つ地球深部リザーバーが過去の融解マントルであるとする仮説を覆すものである。また希ガス分析と並行して、希ガス抽出を行なったかんらん石試料のオスミウム同位体測定を行う目的のために、オスミウム分析に使用する試薬のブランク低減下を進めた。使用する硝酸の効果的な処理方法を調整することにより、低いトータルブランクと高い再現性の両者を達成することができた(0.038 ± 0.016 pg/1.5 ml HNO3)。この結果により、鉱物分離したかんらん石のヘリウム同位体比とオスミウム同位体比の相関関係をより詳細に検討することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していたハワイ諸島産捕獲岩の希ガス同位体分析は順調に進んだが、ポンペイ島/コスラエ島マントル捕獲岩の強親鉄性元素濃度分析・187オスミウム同位体分析が新型コロナウイルス蔓延による実験上の制約があり未だ完了していない。また当初はサモア諸島の主要4島(Savaii, Upolu, Tutulia, Manu’a)の野外調査を研究期間内に実施する計画であったが、コロナ問題や研究協力者との調整が難航したため当該年度における海外渡航は見合わせた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、昨年度に引き続きカロリン諸島, ポンペイ島/コスラエ島マントル捕獲岩の強親鉄性元素濃度分析・187オスミウム同位体分析を実施するのと並行して、ハワイ諸島のマントル捕獲岩試料の充実を目的に, ハワイ諸島カウアイ島の野外調査を実施する予定である。これらの試料の希ガス同位体およびオスミウム同位体分析を鉱物分離したかんらん石により行うことで、カウラ島およびオアフ島産かんらん岩から見出された相関関係の確からしさを調べる。最終的に得られた結果を総合的に解析することにより、高い3He/4He比を持つ地球深部リザーバーの成因を考察する。
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