研究課題/領域番号 |
19H02003
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
東 真太郎 東京工業大学, 理学院, 助教 (60771293)
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研究分担者 |
野村 龍一 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (40734570)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 回転式ダイヤモンドアンビルセル / ポストペロブスカイト / レオロジー / 変形実験 / 高圧 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は新しく開発された超高圧変形試験機である回転式ダイヤモンドアンビルセル(回転DAC)を用いてポストペロブスカイトの定量的な変形実験を行い、その流動特性を明らかにすることである。地球マントルの最下部(D''層)を構成していると考えられるポストペロブスカイトの流動特性はほとんど理解されていない。これは既存の変形実験装置の発生圧力限界など、非常に大きな技術的困難の伴う変形実験を必要とされていたからである。しかし、我々研究グループが開発した回転式DACの発生可能圧力は原理上既存のダイヤモンドアンビルセルと同等、かつ定量的な変形実験が可能であるため、本研究目的を達成することができる。そして当該年度においては、ポストペロブスカイトの流動強度における圧力、ひずみ速度依存性を測定することを目標とした。まず本研究では回転式DACのセル内でレーザー加熱によるポストペロブスカイトの合成(>2000度,>125GPa)を試みた。しかし、変形試料として十分な体積、形、均質な試料を合成することが非常に困難であることがわかった。回転式DACは対照型DACとは異なり、現状ではその構造上、片側からのレーザー加熱しかできず、試料内部に温度勾配が存在しており、それが一つの要因と考えられる。それに加えて、変形の安定化をはかるためにダイヤモンドキュレットにはFIBによって溝が彫ってあり、レーザー加熱を行なった際はその溝が選択的にレーザーを吸収している可能性がある。しかし回転式DACを用いたポストペロブスカイトの変形実験を遂行するにあたって、レーザー加熱を用いることとこれまでの変形実験手法そのものは有効であることが確認できたため、このまま手法については変更せずに研究計画を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記で示したポストペロブスカイトを回転式DAC内で合成するにあたっての技術的困難を解決するために予定よりも時間を要してしまっている。当該年度の目標としていた、ポストペロブスカイトの流動強度における圧力依存性を測定できなかったことから、予定よりやや遅れているという状況である。
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今後の研究の推進方策 |
変形実験における試料体積、その形状、均質性を確保が可能な回転式DAC内でポストペロブスカイトの合成方法の確立を急ぐ。まずキュレット面における溝は変形において必要不可欠であり取り除くことができないため、この溝の形状をレーザー加熱用に修正する。圧媒体の選定や出発物質をゲルから合成するなどについてもさらに工夫を施す必要があると考える。実験方法としては当初の計画通り、SPring-8においてX線ラミノグラフィー技術とXRD、そして回転式DACを組み合わせたポストペロブスカイト+フェロペリクレース2相系の変形実験を行うことで流動強度の取得と微細組織の観察を主として続ける。
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