研究課題
南半球の古インド洋南縁部付近(南緯躍60度)で採取されたIODP Exp. 369, Site U1516およびU1513の白亜系セノマニアン後期の試料について,さらに有機物の抽出を進め,その構成分子についての検討を進めた.また高知コアセンターに保存されている,過去に掘削が行われたODP Site 763についてもセノマニアン末期~チューロニアン最初期の試料を入手して有機物の分析を進めた.その結果,n-alkaneは検出したが,含有量が少ない層準が多く,バックグラウンドに由来する汚染が顕著であるため,同位体比値の評価ができないことが分かった.一方で,すでに並行して進めてきた長鎖アルケノンに関する調査では,U1516よりもU1513のやや水深が深いサイトの方がアルケノン含有量が大きいことが分かり,U1513について層序的にアルケノンの層序変動を追った.同サイトのセノマニアンからは,ほぼすべての層準から2不飽和および3不飽和のアルケノンを検出することができており,これまでにU1516のアルビアンおよびセノマニアン前期から得ている不飽和度と比較することができた.それによればセノマニアン後期のこの場所の古水温は,中期の寒冷化(Mid-Cenomanian Event)以後徐々に温暖化し,海洋無酸素事変2(OAE2)の直前までは大きな変動がなかったことが明らかになった.OAE2直前のU1516に関する炭酸塩の炭素・酸素同位体比,炭酸塩含有量,有機炭素同位体比,アルケノン含有量,C40アルケノン不飽和度指標,C40:2アルケノンの炭素・水素同位体比に関して総括して論文を執筆し,Organic Geochemistryに投稿を行った.同論文では白亜紀からは初めて3不飽和アルケノンを報告し,白亜紀に初めてアルケノン古水温指標を応用して古環境を論じた.
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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