研究課題/領域番号 |
19H02019
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
村澤 剛 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (90348467)
|
研究分担者 |
西岡 昭博 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (50343075)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 圧電高分子 |
研究実績の概要 |
【圧電高分子フィルムセンサデバイスの分極処理技術の確立】 プリントされたPVDFフィルムは、分極処理(ポーリング)を施すことで高い圧電特性を引き出すことができる。この処理は、PVDF中の分子鎖のH原子とF原子の向きを揃えるために行われる。一般的に、作成されたβ型PVDFフィルムに対して、百数十℃の温度下で数百Vの電圧を印加することにより、分極処理は行われる。しかしながら、この手法では、フィルム作成後に別途の処理が必要となってしまう。そこで、本申請研究では、「帯電分子配向法」を提案した。静電気発生装置と静電気測定器を用いて、任意電圧の静電気を発生させるシステム(帯電分子配向システム)のプロトタイプを構築した。また、帯電させた基盤上にPVDF溶液を滴下し、溶液を乾燥・固化(溶媒キャスト)することで分極処理されたPVDFフィルムを形成させた。さらに、来年度以降に計画している帯電分子配向法の「P-P プリンタへの実装」の準備を行った。一方で、来年度以降、乾燥中のPVDFフィルムに帯電させる方法(基盤と液滴のどちらを帯電させるか?・帯電のタイミングは?・帯電量は?など)を模索するとともに、構造評価(申請備品の顕微ラマン分光装置をベースに構築した新しい計測システム)を精密に行っていく必要があることがわかった。 【3次元構造圧電高分子センサデバイスの作成と評価】 PVDFフィルムと電極を複数積層して3次元構造体を造形することを試みた。6層構造のPVDF積層デバイスの作成に成功した。一方で、プリント中のPVDF液滴乾燥に要する時間が予想以上であることがわかり、P-pプリンタで用いる速乾性のPVDFインクの開発の必要性が生じた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた帯電分子配向法の予備実験を行い、帯電分子配向法の「P-P プリンタへの実装」の準備を行うことができた。また、PVDFフィルムと電極を複数積層して3次元構造体を造形することができた。おおむね研究計画通りの進捗状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、帯電分子配向法(帯電方法と構造評価)の確立を進めるとともに、P-P プリンタへの実装を試みる予定である。一方で、プリント中のPVDF液滴乾燥に要する時間が予想以上であり、速乾性のPVDFインクの開発を早急に進める必要があることがわかった。
|