研究課題/領域番号 |
19H02038
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
笹原 弘之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00205882)
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研究分担者 |
阿部 壮志 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (60756469)
中本 圭一 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90379339)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アディティブ・マニュファクチャリング / マグネシウム合金 / モニタリング |
研究実績の概要 |
① Mg合金の溶融・固化プロセスにおける冷却速度のコントロール: ワイヤ+アーク放電による金属の溶融・固化における積層造形物の金属組織を制御するためには、固化する過程における冷却プロセスを制御する必要がある.これまでの研究で,鉄鋼材料やNi基耐熱合金では水冷において結晶粒が微細化することが明らかとなってきた.本年度は,Mg合金の溶融・固化を伴う造形プロセスにおいて,固体の接触により熱伝達を促進し造形物の温度を低下する手法を開発し,造形能率を保ちながら,造形壁の精度を高めることを可能とした. ② 造形条件へのフィードバックに向けた形状,温度のインプロセスモニタリング手法の開発: 指向性エネルギー堆積の原理による造形では ,付加する金属の体積は制御可能であるが,凝固するまでの流動可能な溶融状態の表面形状は,重力,表面張力,粘度,濡れ性,下層部分の形状や温度に依存し単純には定まらない.本年度は,赤外線放射温度計による温度のインプロセスモニタリングを可能とし,層間温度の設定に適用可能とした. ③ 混合異種金属の溶融・凝固プロセスにおける成分傾斜層の形成:Mg合金の表面により強度や耐食性の高い異種金属を積層することを目指している.昨年度のTi合金に替えて,本年度はMg板の表層にAl合金層を付加加工する実現可能性を検討した.Al合金中のSi濃度が高い方が溶接割れを回避し造形に適することを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
① Mg合金の溶融・固化プロセスにおける冷却速度のコントロールについては,固体の接触により造形物の温度を低下する手法により,Mg合金造形時の問題を回避できることがわかった. ② 造形条件へのフィードバックに向けた形状および温度のインプロセスモニタリング手法について,今年度は赤外線放射温度計による温度のインプロセスモニタリングを可能とし,層間温度を適切に設定することへのフィードバックが可能となった. ③ 混合異種金属の溶融・凝固プロセスにおける成分傾斜層の形成:Mg板の表層にAl合金層を付加加工する実現可能性を検討した.線膨張係数の違いによりMg合金とAl合金の界面で接合不良が生じることや,脆い金属間化合物の生成が良好な接合の妨げとなることが分かった.Al合金中のSi濃度が高い方が溶接割れを回避し造形に適することを明らかにした.
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今後の研究の推進方策 |
① Mg合金の溶融・固化プロセスにおける冷却速度のコントロール: 固体の接触により造形物の温度を低下する手法を確立し,機械的特性への影響を明らかにする. ② 造形条件へのフィードバックに向けた形状,温度のインプロセスモニタリング手法の開発: 二次元レーザセンサを走査することにより三次元的な造形形状あるいは現在付加中の形状をモニタリングを可能とするシステムを構築したので,温度のインプロセスモニタリングと組合せ,条件設定へのフィードバックを行うことを可能とする. ③ 混合異種金属の溶融・凝固プロセスにおける成分傾斜層の形成:Mg合金の表面に強度や耐食性の高い異種金属を積層することを目指す.Mg合金とTi合金の間にAl系合金の中間層を設けることによるMg-Al-Tiの積層の可能性を追求する.
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