研究課題/領域番号 |
19H02040
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
秦 誠一 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50293056)
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研究分担者 |
櫻井 淳平 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (40345385)
岡 智絵美 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70823285)
山崎 貴大 名古屋大学, 工学研究科, 学振特別研究員(PD) (40847240)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 内部応力 / 薄膜 / コンビナトリアル技術 / アニール / 薄膜金属ガラス |
研究実績の概要 |
本年度は,差動排気コンビナトリアル新対向ターゲットスパッタ装置の開発の予備検討の際に見られた,Ar圧力勾配を設けるとプラズマ状態が不安定化し,安定した実験が行えないという問題点の解決を試みた.具体的には,Arガス導入口を細穴化,多穴化し,Arの圧力勾配を面方向に緩やかにすることでプラズマの安定化を図ったが,プラズマの安定化には至らず,シミュレーションによるプラズマの安定条件を探索した.シミュレーションの結果,Arの圧力勾配より最低圧力の維持が重要である可能性が見いだされた. つぎに,昨年度に製作プロセスを確立した内部応力評価用薄膜ライブラリを用いて,実際に圧力勾配および組成傾斜を与えたRu系およびTi系薄膜金属ガラスを成膜し,その内部応力の評価を試みた.予備検討の結果,最低10MPaまでの内部応力を測定できる可能性を見出すことができたが,主な実験装置であるDEEP-RIEの故障と,コロナ禍による共同実験施設の閉鎖により約半年間の実験遅延が生じた.装置の修理は年度内に完了したので,今後Ar圧,膜厚と内部応力の関係を体系的,効率的に解明する.一昨年度の検討結果から,薄膜金属ガラス製ダイアフラム構造と,Siと薄膜金属ガラスのバイモルフカンチレバー構造からなる内部応力評価用薄膜ライブラリでは,十分な内部応力測定結果を得らない可能性が生じたので,Siばね構造と両持はり構造サンプルを直列に接続した新しい形態の内部応力評価用薄膜ライブラリも検討する. さらに内部応力評価用薄膜ライブラリのAr圧力勾配の方向と垂直に温度勾配を設けて,一定時間加熱し,冷却後,内部応力を測定することで,Ar圧と,アニール条件(加熱温度,加熱時間)と,内部応力の関係を体系的,効率的に解明予備検討を行い,その実現可能性を確認した.以上の検討結果は,雑誌論文1編,国際学会発表1件,国内学会発表6件にて発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は,差動排気コンビナトリアル新対向ターゲットスパッタ装置のArガス導入口を細穴化,多穴化し,Arの圧力勾配を面方向に緩やかにすることでプラズマの安定化を図ったが,プラズマの安定化には至らず,シミュレーションによるプラズマの安定条件を探索した.シミュレーションの結果,Arの圧力勾配より最低圧力の維持が重要である可能性が見いだされ,引き続き実験とシミュレーションによるプラズマの安定化を図る. つぎに,昨年度に製作プロセスを確立した内部応力評価用薄膜ライブラリを用いて,実際に圧力勾配および組成傾斜を与えたRu系およびTi系薄膜金属ガラスを成膜し,その内部応力の評価を試みた.予備検討の結果,最低10MPaまでの内部応力を測定できる可能性を見出すことができたが,主な実験装置であるDEEP-RIEの故障と,コロナ禍による共同実験施設の閉鎖により約半年間の実験遅延が生じた.装置の修理は年度内に完了したので,今後Ar圧,膜厚と内部応力の関係を体系的,効率的に解明する.一昨年度の検討結果から,薄膜金属ガラス製ダイアフラム構造と,Siと薄膜金属ガラスのバイモルフカンチレバー構造からなる内部応力評価用薄膜ライブラリでは,十分な内部応力測定結果を得らない可能性が生じたので,新しい形態の内部応力評価用薄膜ライブラリも検討する. さらに内部応力評価用薄膜ライブラリのAr圧力勾配の方向と垂直に温度勾配を設けて,一定時間加熱し,冷却後,内部応力を測定することで,Ar圧と,アニール条件(加熱温度,加熱時間)と,内部応力の関係を体系的,効率的に解明予備検討を行い,その実現可能性を確認した. 以上の内容から,(3)やや遅れていると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は,1) 内部応力評価用薄膜ライブラリを用いたコンビナトリアル評価として,引き続き,内部応力評価用薄膜ライブラリを用いて,Ru系およびTi系薄膜金属ガラスのAr圧と,アニール条件(加熱温度,加熱時間)と内部応力の関係を体系的,効率的に解明する.これまでの検討結果から,薄膜金属ガラス製ダイアフラム構造と,Siと薄膜金属ガラスのバイモルフカンチレバー構造からなる内部応力評価用薄膜ライブラリでは,十分な内部応力測定結果を得らない可能性が生じたので,Siばね構造と両持はり構造サンプルを直列に接続した新しい形態の内部応力評価用薄膜ライブラリも検討する. 2) 薄膜金属ガラスの構造解析による内部応力制御の原理解明として,上記のように,内部応力評価用薄膜ライブラリを用いて蓄積したRu系およびTi系薄膜金属ガラスのAr圧と,アニール条件と内部応力のデータを元に,特徴的な条件で作製したサンプルを,X線回折法による動径分布関数解析,陽電子消滅法による自由体積測定により構造解析を秦,櫻井を中心に行う.これにより,薄膜金属ガラスの内部応力変化のメカニズムついての知見を得る. 3) 内部応力制御されたダイアフラム構造の製作とその応用として,以上の検討により,Ru系およびTi系薄膜金属ガラスの内部応力を±200 MPaの範囲,精度±2 MPaにて自在に制御可能とする.その知見を元に直径400 nm~800 umのダイアフラム構造を製作し,マイクロフォンや圧力センサへ応用し本技術を実証する.
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