研究課題/領域番号 |
19H02045
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
倉島 優一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (70408730)
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研究分担者 |
柳町 真也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (70358216)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マイクロデバイス / 気密封止 / 接合 / 量子干渉効果 / ゲッター |
研究実績の概要 |
本研究では量子干渉効果に基づくCPT共鳴現象により微小キャビティ内部の圧力変動を高精度に評価し、圧力を一定に担保できる気密封止接合技術の確立を図ることを目的としている。当初の計画では気密封止後微小セル内壁等に吸着したガス分子を取り除くために市販の小型ゲッターをセル内部に挿入することも考えていたが、工程数が多くなることやゲッターを配置するスペースが必要となるなどの課題ががあった。一方で、接合材としてAu/Ti薄膜は有力な候補としていたが、文献調査等によりAuが成膜されたTi膜を高温に加熱することでTiがAuの表面に拡散してTi化合物を作りゲッター材として有効であるという知見を得た。そこで、同一のプロセスで接合面と微小キャビティ内壁に成膜したAu/Ti薄膜が接合材だけでなくゲッター材にも適応できるのではないかと考え、その有効性を評価した。 ゲッター材として有効性評価:Si基板の表面を熱酸化させた後、表面にAu/Tiをそれぞれ4および40 nm成膜した。この基板を8 mm角にダイシングし大気雰囲気中で300℃でアニール処理をした後XPSにより表面の元素分析を行った。その結果、Tiが表面に拡散してTiの化合物を形成することが分かった。 接合特性評価:Au/Ti が成膜された熱酸化Si基板の表面を活性化させるためにArプラズマを表面に照射した後に引っ張り試験を行ったところ、接合面からの剥離は見られなかった。常温で接合を行った後に300 ℃でアニール処理したサンプルに対してTEM観察を行ったところ、接合界面にはボイドは見られず、接合界面近傍にはAu薄膜層が残っているのが確認出来た。 以上から、同じプロセスで熱酸化Si基板上に成膜したAu/Ti薄膜はゲッター材としてだけでなく接合材としても有効であると結論づける。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では量子干渉効果に基づくCPT共鳴現象により微小キャビティ内部の圧力変動を高精度に評価し、圧力を一定に担保できる気密封止接合技術の確立を図ることを目的としている。2019年度の実施計画の内容の一部は実施することができなかったものもあるが、研究全体の流れでは概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は特に脱ガス処理を施しても接合を可能にするための技術課題を解決するとともに、最終的なCPT共鳴現象により微小キャビティ内部の圧力変動の測定をするための治具の設計試作をして最終目標に向かって推進する。
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