研究課題
光ナノインプリントは最先端リソグラフィへの応用が検討されており、更なるプロセスの高速化や低欠陥化が求められている。応募者はこの解決法としてハイドロフルオロオレフィン(HFO)系の飽和蒸気圧の異なる凝縮性ガスを混合導入する手法を提案し、低欠陥な高品質なパターニングを実証した。このナノインプリント手法は、モールドの低離型力といった大きな利点に加えて、樹脂の充填の高速化の可能性を秘めており、本研究では、インクジェットによる微小液滴に対して凝縮性ガスによるナノインプリント手法の適用性を示すことにより、超高速光ナノインプリントリソグラフィの実現を目指す。また、微小空間における凝縮反応の解明と微小液滴の充填挙動の解析に加えて、1Xnmのラインパターンの解像実証を行う。今年度はデジタルカメラと暗視野照明を用いたナノインプリント時の樹脂の充填観察システムを開発し、大気下、ヘリウム雰囲気下と凝縮性ガス雰囲気下における充填挙動の比較を行った。混合凝縮性ガス雰囲気ではヘリウム雰囲気に比べて、5倍以上高速充填が可能であることを実証した。7、100、500cPの3種類のUV硬化樹脂液に対して超微細吐出インクジェットの滴下条件を最適化し、100umピッチ以下で1pL以下の微小液滴の塗布を行った。また、凝縮性ガスのアクリルモノマー70種類に対する相溶性の評価を通して、混合凝縮性ガス雰囲気に適したアクリルモノマーを見出した。
2: おおむね順調に進展している
充填観察システムと超微細吐出インクジェット、樹脂へのガス吸収量に関する評価システムを確立し、混合凝縮性ガスと微小液滴を用いたナノインプリントプロセスの評価を進めた。このことから研究は概ね順調に進展している。
2種類の凝縮性ガス[トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(CTFP: 飽和蒸気圧0.13MPa)とトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(TFP: 飽和蒸気圧0.5MPa)]を混合した雰囲気下でのナノインプリントの評価を行うために、インクジェット塗布した微小液滴に対するナノインプリント時の樹脂充填の評価と混合凝縮性ガス雰囲気に適したフッ素添加剤含有のUV硬化樹脂の開発を進める予定である。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
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