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2019 年度 実績報告書

トリム曲面接続の理論解析と計測点群データからの高品質トリム曲面の生成

研究課題

研究課題/領域番号 19H02048
研究機関静岡大学

研究代表者

三浦 憲二郎  静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (50254066)

研究分担者 梶原 健司  九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (40268115)
井ノ口 順一  筑波大学, 数理物質系, 教授 (40309886)
臼杵 深  静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (60508191)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードトリム曲面 / リバースエンジニアリング / レーザスキャナ / 外装設計 / 自由曲面 / 美的曲線・曲面理論 / 曲率分布 / 四辺形曲面
研究実績の概要

自動車の外装設計に用いられている自由曲面には滑らかで美しく高品質であることが要求される.実車のCADモデルには,4辺形パッチをパラメータ空間で切り抜いたトリム曲面がほぼ必ず使われている.しかしながら,実務でのニーズが強いにもかかわらずトリム曲面に関する理論的研究はほとんどなされていない.このためトリム曲面は現場のノウハウでモデリングされ,設計工学における形状モデリング研究が実務にまったく貢献できていない.

そこで,本研究ではまず,実車外装をレーザスキャナで計測し,それらの曲率分布等の特徴を分析することで実務に使えると判断するための「品質基準」を確立する.次に,トリム曲面を滑らかに接続する理論を構築し,研究代表者が開拓してきた美的曲線・曲面理論をトリム曲面に拡張して「品質基準」を満たすトリム曲面を生成する手法を確立する.これらの研究により,これまでにまったく実現されていない実務に利用できるトリム曲面による高品質リバースエンジニアリング手法を確立する.

2019年度はリバースエンジニアリングについてこれまでの手法を実装することで検討し,その問題点を明らかにした.トリム曲面を用いた自動車外装のリバースエンジニアリング手法に関する先行研究としてVaitkusらが,測定データをトリム曲面で表現するための切り取る元となる四辺形曲面の推定手法を提案している.まずは,この手法の実装および検討を行い,メッシュをどのように複数のトリム曲面に分割するのか,また複数のトリム曲面をG1あるいはG2で接続する研究が必要であることが明らかになった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

自動車のような意匠形状に対するリバースエンジニアリングはまだ実用化の域に達しておらず,その最も大きな要因は,自動車のCADデータを作成する際に必須となるトリム曲面を用いたリバースエンジニアリングの手法が確立されていないことである.そこで,2019年度はトリム曲面を用いた自動車外装のリバースエンジニアリング手法の確立を目的として研究を行う.先行研究としてVaitkusらが,測定データをトリム曲面で表現するための切り取る元となる四辺形曲面の推定手法を提案している.まずは,この手法の実装および検討を行い,問題点を明らかにした.

トリム曲面は,3次元CADシステムにおいて,四辺形曲面パッチから有効な部分を切り取ることで複雑な境界形状をもつ曲面を表す表現形式であり,切り取る元になる四辺形曲面パッチと境界を表す3次元曲線の2つの情報をデータとして持っている.

アルゴリズムは以下となっている.1)四辺形曲面の境界形状を推定するガイドフレームを生成する.2)メッシュデータを2Dマッピングしパラメータ化を行う.3)パラメータ空間上でメッシュデータの拡張を行る, 4) 3D空間にマッピングする.得られたメッシュデータに対して最小二乗近似を行い,四辺形曲面をフィッティングする.Vaitkusらの提案した手法における,ガイドフレームの生成,メッシュデータのパラメータ化,パラメータ空間上での拡張、3D再マッピング,四辺形曲面のフィッティングについて実装を行った.問題点として,メッシュをどのように複数のトリム曲面に分割するのか,また複数のトリム曲面をG1あるいはG2で接続する研究が必要であることが明らかになった.

今後の研究の推進方策

自動車外装に対するリバース・エンジニアリングの実現のためには与えられたデータを複数枚のトリム曲面を用いてフィッティングする必要がある.現在,Vaitkus らのグループがメッシュデータに対して適切なトリム曲面をフィッティングする手法を提案している.しかし,彼らの手法は与えられたデータに対して1 枚の曲面をフィッティングする手法であり複数枚の曲面をフィッティングする場合やその接続に関して議論していない.そこで2020年度の研究では彼らの手法を拡張し,連続性を考慮したフィッティング手法を実現することを目的として研究を行う予定である.

Bianらのグループは,複数枚のトリム曲面についてその連続性を修正し,穴の修復を行う手法を提案した(K. Bian, Y. Ke, Global Continuity Adjustment and Local Shape Optimization Technique for Complex Trimmed Surface Model, CHINESE JOURNAL OF MECHANICAL ENGINEERING, Vol.23,No 2, pp.225-232, 2010.).入力データはG0 連続で接続されており,複数枚の曲面が合流する部分に多角形の穴が存在している場合を想定している.出力データでは穴の部分が保管され,それぞれの曲面間の接続がG1 連続に修正される.本研究ではこの手法における連続性修正の部分を利用している.2020年度の研究ではBianらのグループが提案している手法を実装するとともにその問題点を明らかにし,アルゴリズムを改良する.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)

  • [国際共同研究] University Malaysia Terengganu(マレーシア)

    • 国名
      マレーシア
    • 外国機関名
      University Malaysia Terengganu
  • [雑誌論文] G1 Hermite Interpolating with Discrete Log-aesthetic Curves and Surfaces2019

    • 著者名/発表者名
      Yagi Kazumichi、Suzuki Sho、Usuki Shin、Miura Kenjiro
    • 雑誌名

      Computer-Aided Design and Applications

      巻: 17 ページ: 607~620

    • DOI

      10.14733/cadaps.2020.607-620

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Optimal Path Smoothing with Log-aesthetic Curves Based on Shortest Distance, Minimum Bending Energy or Curvature Variation Energy2019

    • 著者名/発表者名
      Gobithaasan R.、Yip S.、Miura Kenjiro、Madhavan S.
    • 雑誌名

      Computer-Aided Design and Applications

      巻: 17 ページ: 639~658

    • DOI

      10.14733/cadaps.2020.639-658

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Optimal Path Smoothing with Log-aesthetic Curves Based on Shortest Distance, Minimum Bending Energy or Curvature Variation Energy2019

    • 著者名/発表者名
      R.U. Gobithaasan, S.W. Yip, Kenjiro T. Miura and S. Madhavan
    • 学会等名
      the 2019 International CAD Conference and Exhibition
    • 国際学会
  • [学会発表] Log-aesthetic Curves and Its Relation to Fluid Flow Pattern In Terms of Streamlines2019

    • 著者名/発表者名
      Mei Seen Wo, R.U. Gobithaasan, Kenjiro Miura, Kak Choon Loy, Sadaf Yasmeen, F.N. Harun
    • 学会等名
      ACCDDE2019
    • 国際学会
  • [学会発表] The Properties of τ Curve and its Discretization2019

    • 著者名/発表者名
      K.T. Miura, R.U. Gobithaasan, T. Sekine, S. Usuki
    • 学会等名
      ACCDDE2019
    • 国際学会

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公開日: 2021-12-27  

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