研究課題/領域番号 |
19H02050
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
堀切川 一男 東北大学, 工学研究科, 教授 (60173605)
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研究分担者 |
山口 健 東北大学, 工学研究科, 准教授 (50332515)
柴田 圭 東北大学, 工学研究科, 助教 (60612398)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 樹脂複合材料 / 超低摩耗 / オイルレス |
研究実績の概要 |
軸受ではオイルレス潤滑が求められているが,乾燥状態や水・水溶液潤滑下において樹脂材料の軸受は広く用いられていない.これは油潤滑下の鋼材料に比べ,摩耗が著しく大きいためである.そこで,本研究では,粒子状の硬質多孔性材料(RBセラミックス粒子)を,樹脂材料に対して,異なる粒径において同時配合することにより複合材料を開発し,その耐摩耗性を,乾燥状態あるいは水・水溶液潤滑下において,油潤滑下におけるステンレス鋼に対して10倍以上に飛躍的に向上させることを目指す. 令和2年度では,令和元年度に作製し,機械的特性に優れることが明らかとなった,平均粒径5μmのRBセラミックス粒子をPEEK樹脂に20体積%配合した複合材料を用いて,ステンレス鋼製ボールに対する水中でのすべり摩擦試験を行った.すべり速度は0.1~2.0m/s,垂直荷重0.98~9.8N,摩擦繰り返し数10000回とした.比較のため未充填のPEEK樹脂についても試験を行った.その結果,RBセラミックス粒子を配合したPEEK樹脂複合材料は,水中で0.2以下,最少で0.02の低い摩擦係数を示し,10のマイナス9乗mm2/N以下の低い比摩耗量を示すことが分かった.また,未充填のPEEKに比べて摩擦係数を最大で87%,比摩耗量を93%低減できることも分かった.そして,ステンレス鋼同士の油潤滑下における比摩耗量(10のマイナス8乗mm2/N)に比べ10倍以上の耐摩耗性が得られることが分かった.この結果は同複合材料の水中でのオイルレスしゅう動システムへの応用可能性を示すものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の課題は,開発したRBセラミックス粒子配合樹脂複合材料の水潤滑下における摩擦摩耗特性を明らかにすることであったが,これらの解明は順調に進んでおり,開発材料が優れた耐摩耗性を有することも明らかとなっていることから,上記の区分であると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発されたRBセラミックス粒子配合樹脂複合材料について,既存の摩擦摩耗試験機を改良して,水中スラスト軸受を模擬したスラスト摩擦試験を行う.実用に近い条件でのスラスト摩擦試験により,開発された樹脂複合材料の水中におけるオイルレスすべり軸受材料としての実用可能性を明らかにする予定である.
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