近距離の快適な移動を実現するため、屋内をスムーズにどの方向にも移動でき、屋外や道路での移動もできる1人用移動装置が求められている。しかし、従来の移動装置は両方の機能を1台で実現することは困難であった。そこで本研究では研究代表者が提案した全方向移動機構の移動原理を基にして、屋内での全方向移動から、高い速度での道路走行まで、人のように車のように移動できる屋内屋外両用全方向移動乗り物を実現する。また、足操作性を解明し、これに基づいて足の動きで操作する方法を構築する。 提案する全方向移動機構について解析を行った。移動速度が一定の場合やそれを変化させる場合、移動方向を切り替える場合、円弧運動をする場合を対象として運動状態を分析した。次に、製作した全方向移動機構の実験装置を用いて動作実験を行い、理論的に解明した原理が正しいかを検証した。また、条件を変更した実験を行い、理論との比較をすることで、実稼働状態での機構の特性を調査した。具体的には、まず、一方向への移動実験を行い、その結果、本機構ではその運動が可能であることを確認した。一方、移動した状態は理論状態とは完全には一致しなかったことを確認し、その誤差を定量的に評価した。また誤差の原因について考察した。これと同様に、移動方向を変化させる場合や円弧経路を移動する場合についても実験を行い、想定通りの動作が可能であることを確認した。また、足の動作特性を調査した。
|