研究課題/領域番号 |
19H02056
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
小山 大介 同志社大学, 理工学部, 教授 (50401518)
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研究分担者 |
松川 真美 同志社大学, 理工学部, 教授 (60288602)
江本 顕雄 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 特任講師 (80509662)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 超音波 / 液晶 / 光デバイス / 光計測 |
研究実績の概要 |
本研究では,超音波による液晶配向制御技術およびその光デバイスへの応用について検討した.超音波と液晶を用いた光デバイスへとして,初年度に開発した光学的焦点距離の制御が可能な光学レンズに関して,下記項目について検討を行い,各結果を得た. 1.レンズ径の拡大:初年度に開発した液晶可変焦点レンズにおいては,レンズとして作用する領域がレンズ中心部のみに限定されて小さいという問題点が生じた.これに対し,レンズに搭載する円環型圧電振動子を周方向に分割し,各振動子の駆動位相差を制御し,レンズ周方向に伝搬する超音波進行波を利用することにより,レンズ径の拡大を狙った.その結果,相対的にレンズ周辺部の屈折率を変化させることにより,超音波定在波を利用した従来型と比較し,レンズ径を約2倍拡大することに成功した. 2.レンズ透過光波面の解析:初年度に開発した液晶レンズについて,その透過光波面をシャック・ハルトマン波面センサを用いた光学系によって解析し,レンズの光学特性を測定・評価した.また本結果を利用することにより,レンズ中の屈折率分布および3次元的な液晶配向を算出する計測手法を開発した. 3.液晶分子の3次元的配向分布測定:液晶分子配向測定として用いられるクリスタルローテーション法を用いて,レンズ中の液晶分子の詳細な3次元的配向方向の測定を試みた.現在,超音波振動分布と3次元的液晶配向分布との関連性について検討中である.また,上項2の計測結果を組み合わせることにより,超音波・液晶配向・透過光の3つの分布の関連性が明らかとなることが期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
・手ぶれ補正機能(OIS)への展開:従来のデジタルカメラ等に組み込まれるレンズ系の手ぶれ補正機能では,振動発生時にレンズをアクチュエータ等で径方向に移動させ,振動を抑制する必要がある.本研究では,レンズに非軸対称共鳴振動を発生し,液晶中に非軸対称音場を発生させることによって,レンズを移動させることなく焦点距離を径方向に走査可能な可変焦点レンズの実現を行う. ・液晶分子の3次元的配向分布測定:現在検討中であるクリスタルローテーション法によって,液晶分子の詳細な3次元的配向分布を測定し,超音波振動分布と比較することにより,超音波による液晶ダイナミクスに関する定量的評価を行う. ・凹凸レンズの開発:他手法においては実現困難な,同一デバイスにて光軸上の正負方向のいずれにも焦点変化可能なレンズ,すなわち凹凸可変焦点レンズの開発を行う.
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