研究課題/領域番号 |
19H02060
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
劉 浩 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (40303698)
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研究分担者 |
中田 敏是 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (80793190)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 昆虫飛行 / 空力ロバストネス / 飛行制御ロバストネス / 力学シミュレーション / 擬似乱流風洞実験 |
研究実績の概要 |
昆虫飛行の翼・胴体の柔軟構造と飛行 ロバストネスの相関を運動・力学・制御の統合的研究により解明することで、“墜ちない” 安全安心なドローンなど無人飛行体のバイオミメティクス基本設計指針の創出を目指している。初年度実施した研究の内容は、下記の通りである。 1) 擬似外乱環境を有する超低 速風洞での昆虫飛行の翼・胴体の運動と変形の同時計測 (a) 超低速風洞の中に、円柱や格子網等による渦流れや乱流を発生する装置や環境を整備し発生する様々な擬似外乱レベルを調整するとともに昆虫の擬似外乱環境を飛行する実験環境を確立して擬似自然外乱環境アリーナを構築した。(b) 高速カメラ3台を風洞の中に設置 し昆虫自由飛行時の翼・胴体の運動や姿勢変化及び変形を同時撮影する多機能運動計測システムを構築した。(c) 擬似外乱有無の環境での自由飛行を行う昆虫の翼運動や胴体の姿勢変化を同時撮影し、AI手法に基づいた画像解析を行うとともにカブトムシ等自由飛行の3次元幾何学・運動学モデルを構築した。 2)昆虫飛行の柔軟翼・胴体の運動・力学・制御の多力学連成統合シミュレータ構築 (a) 昆虫翼・胴体の3次元幾何学・運動学モデルを基に昆虫自由飛行の3軸胴体姿勢安定化のPD/PID制御モデルを構築するとともに生物飛行統合力学シミュレータに組み込んで自由飛行制御解析の弱連成モデルを開発した。さらに昆虫筋肉点火タイミングを規範とした間欠制御則を提案し、マルハナバチ飛行制御へのモデリングを行った。(b)昆虫の柔軟筋骨格系動力学モデルを開発し弱連成手法によって統合力学と姿勢安定化制御の連成モデルに組み込んでマルハナバチ自由飛行時の運動・力学・制御の多力学連成統合シミュレータを構築し、羽ばたきダイナミクスのロバストネスを評価した 。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度計画された、1) 擬似外乱環境を有する超低 速風洞での昆虫飛行の翼・胴体の運動と変形の同時計測、2)昆虫飛行の柔軟翼・胴体の運動・力学・制御の多力学連成統合シミュレータ構築という研究の諸項目は、予定通り、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
下記の通り、推進する予定である。 1) 擬似外乱環境を有する超低 速風洞での昆虫飛行の翼・胴体の運動と変形の同時計測および運動解析 (a) 超低速風洞の中に、円柱や格子網等による渦流れや乱流の環境の下、昆虫自由飛行時の翼・胴体の運動や姿勢変化及び変形を計測する。 (b) 擬似外乱有無の環境で計測された昆虫の翼運動や変形、胴体の姿勢変化や変形に対して、深層学習手法を利用して翼と胴体の運動の画像解 析を行って昆虫翼・胴体の3次元幾何学・運動学モデルを構築する。 2)昆虫飛行の柔軟翼・胴体の運 動・力学・制御の多力学連成統合シミュレータによる大規模シミュレーション解析 (a)昆虫翼・胴体の3次元幾何学・運動学モデルを基に構築した生物規範自由飛行制御の解析の弱連成モデルを検証する。 (b)翼胴体の柔軟構造の効果を定量化するために、昆虫の柔軟胴体動力学モデルと柔軟筋 骨格系動力学モデルを開発し弱連成手法によって統合 力学と姿勢安定化制御の連成モデルに組み込んで自由飛行時の昆虫柔軟翼胴体の運動・力学・制御の多力学連成統合シミュレータを構築すると ともにその有効性を検証する。
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